Greenでデータエンジニアを採る|データ基盤の現状をどう書くか
データエンジニアの求人票を書こうとすると、「データ基盤の構築・運用」「データパイプラインの開発」といった言葉で終わってしまいがちです。けれど、データエンジニアの候補者が知りたいのは、その言葉の先にあるいまのデータ基盤がどんな状態で、自分は何を作り、何を直すことになるのかです。基盤がほとんどない会社と、すでに整った基盤を広げる会社では、求められる人がまったく違います。この記事では、Green(株式会社アトラエが運営する、IT・Web業界を中心とした中途採用の求人サイト)でデータエンジニアを採るときに、データ基盤の現状をどう書くかを整理します。
データエンジニアの候補者が求人で見ていること
データエンジニアの候補者が、求人票やスカウトで確かめていることは、おおむね次のとおりです。
- データ基盤の成熟度:これから作るのか、ある程度できていて広げるのか、作り直すのか
- 扱うデータの性質:どこから来るデータか(サービスの利用履歴、業務システム、外部のデータなど)、量や更新の頻度の感覚
- 使う人は誰か:分析者、事業部、経営、機械学習のエンジニアなど、基盤の利用者
- チームの構成:データエンジニアは何人か、分析者やデータサイエンティストと同じチームか
- 技術的な判断の権限:基盤の構成やツールの選定を、チームで決められるか
- データの品質と管理:データの定義が揃っているか、誰がデータの品質に責任を持つか
データエンジニアは、作った基盤を使う人がいて初めて価値が出る仕事です。そのため、技術だけでなく、使う人との関係がどうなっているかを気にする候補者が多い傾向があります。
データ基盤の現状の伝え方
データ基盤の現状は、成熟度の段階で整理して書くと伝わりやすくなります。
- これから作る段階:データは各システムに散らばっていて、分析のたびに手作業で集めている。基盤の設計から任せたい
- 作り始めた段階:一部のデータは集約できているが、取り込みの仕組みが手作業や個別の仕組みに頼っている。仕組みを整えたい
- 広げる段階:基盤はできていて、使う人や扱うデータを増やしていきたい。品質や管理の仕組みを整えたい
- 作り直す段階:古い基盤があり、新しい構成に移したい
どの段階かを書いたうえで、次のことを添えます。
- いま困っていること:「分析者がデータを集めるのに時間がかかっている」「データの定義が部署ごとに違う」など
- 入社した人に最初に任せたいこと:最初の半年で取り組んでほしいこと
- 基盤の利用者と、その人たちとの関わり方:分析者や事業部から要望をどう受け、どう優先順位を決めているか
エージェントベストの見解
データエンジニアの求人票の相談を受けると、当社は「この基盤を、いま誰が一番使っていて、その人は何に困っているか」を最初に聞きます。この答えが具体的に出てくる会社は、求人票も具体的に書けます。答えが出てこない会社は、基盤を作ること自体が目的になっていて、使う人の困りごとがはっきりしていないことが多いです。データエンジニアの候補者、とくに経験のある人は、使われない基盤を作ることを避けたいと考えています。使う人と困りごとが書かれた求人票は、「作ったものが使われる職場だ」と伝わります。求人票を書く前に、基盤の利用者に一度話を聞いておくことを勧めます。
求人票の書き方
データエンジニアの求人票では、次の順で書きます。
- データ基盤の段階と、いま困っていること
- 入社後に担当する仕事:取り込みの仕組み、データの加工、基盤の運用、品質の管理など、どこが中心か
- 扱うデータの性質:どこから来るデータか、更新の頻度の感覚
- チームの構成と利用者との関係:データエンジニアの人数、分析者との分担、事業部との関わり方
- 技術と選定の進め方:使っている技術と、選定をどう決めているか
- 求める経験:必須は2つまでに絞る
データエンジニアの仕事は、分析者やデータサイエンティストの仕事と境界が曖昧になりやすいです。「分析はしないのか」「機械学習のモデルを作るのか」といった境界を、求人票で明確にしておくと、応募後のずれが減ります。
スカウトの書き出しと検索の考え方
スカウトの書き出し
- 弱い書き出し:「データ基盤の構築経験を拝見しました」
- 直した書き出し:「複数の業務システムのデータを集約し、分析者が手作業で集めていた作業をなくす仕組みを作られた経歴を拝見しました。当社もいま、分析のたびにデータを手で集めている状態で、その仕組みを作れる方を探しています」
相手が「誰の、どんな困りごとを、基盤でどう解決したか」を拾うと、自社の困りごととの重なりが伝わります。
検索の考え方
- 職種名の揺れが大きい:「データエンジニア」「データ基盤エンジニア」「分析基盤エンジニア」「バックエンドエンジニア(データ)」など、複数の名前で探す
- バックエンドやインフラの経験者も対象に入れる:データの取り込みや基盤の運用は、バックエンドやインフラの経験と重なる部分が多い
- 分析者からデータエンジニアに移った人も対象に入れる:利用者の目線を持っている人は、使われる基盤を作るのに向いていることがある
- 自社の段階に合う経験を優先する:これから作る段階なら、ゼロから設計した経験。広げる段階なら、品質や管理の仕組みを整えた経験
選考へのつなぎ方
- 一次面接(データエンジニアまたはリーダー):過去に作った基盤で、どんな設計の判断をしたか。データの品質の問題にどう対処したか
- 基盤の利用者との面談:分析者や事業部の人と話す場を設けると、候補者は「誰のために作るのか」を実感できる
- 最終面接:データを事業にどう生かしたいかという会社の考えと、その中でデータエンジニアに期待する役割を話す
- 自社の基盤の現状を見せる:選考が進んだ段階で、話せる範囲で基盤の構成や課題を具体的に説明すると、入社後の仕事を想像しやすくなる
エージェントベストの見解
データエンジニアの採用を始める会社には、順番の話をしています。データ基盤がこれから作る段階の会社が、最初に「データサイエンティスト」を採ろうとすることがあります。けれど、データが集まっていない状態では、データサイエンティストが分析に使える材料がなく、最初の数か月をデータ集めに使うことになります。その結果、「思っていた仕事と違う」と感じて離れる人もいます。基盤がない段階なら、先にデータエンジニアを採って基盤を作り、その後に分析の人を採る順番のほうが、どちらの人も力を発揮しやすくなります。どの職種から採るかは、自社のデータ基盤の段階から逆算して決めてください。当社のGreen運用代行でデータ職の求人を扱うときも、この順番を最初に確認しています。
職種全体の媒体の選び方はデータエンジニア・アナリストの採用媒体の選び方にまとめています。
まとめ
- データエンジニアの候補者が知りたいのは、いまのデータ基盤の状態と、何を作り何を直すか
- 基盤の段階(作る・作り始めた・広げる・作り直す)と、いま困っていることを書く
- 基盤の利用者と、その困りごとを書くと、「作ったものが使われる職場だ」と伝わる
- 分析やモデル作りとの境界を明確にし、応募後のずれを防ぐ
- 基盤がない段階なら、分析の人より先にデータエンジニアを採る順番を考える
よくある質問
データ基盤がほとんどない状態でも、データエンジニアは採れますか
採れる可能性はあります。基盤をゼロから設計することに関心がある人もいます。その場合は、いまの状態と困っていることを正直に書き、設計から任せることを明確に伝えてください。
データエンジニアとデータサイエンティストを同時に募集してもよいですか
募集すること自体は問題ありませんが、データ基盤の段階によっては、データサイエンティストが入社後に分析できる状態にない場合があります。基盤の状態と、それぞれに任せる仕事を求人票で明確にしてください。
使っている技術を詳しく書くべきですか
主要な技術は書いておくと、候補者が自分の経験と照らし合わせやすくなります。ただ、技術の一覧より、基盤の段階と困っていることのほうが、候補者の判断に役立ちます。
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