Greenでフルスタックエンジニアを採る|何でも屋にしない要件の書き方
「フロントエンドもバックエンドもインフラも、幅広く担っていただきます」。フルスタックエンジニアの求人票でよく見る一文です。会社としては、少ない人数で開発を回すために、一人に幅広く任せたいという事情があります。けれども、経験のある候補者はこの一文を読むと、どれも中途半端にしか関われない「何でも屋」の仕事ではないかと警戒します。この記事では、Greenでフルスタックエンジニアを採るときに、何でも屋に見せない要件の書き方と、声のかけ方、選考の進め方を整理します。Greenは、株式会社アトラエが運営する、エンジニアやWeb系の職種を多く扱う中途採用の求人サイトです。
候補者が「何でも屋」を警戒する理由
フルスタックの仕事を望む候補者はたくさんいます。一つの機能を、画面からデータの保存まで通して作れることに、やりがいを感じる人は多いからです。それでも「何でも屋」を警戒するのは、次のような経験や不安があるからです。
- 幅広く担った結果、どの領域でも深い経験が積めず、次の転職で評価されにくかった
- 人が足りないところに回されるだけで、自分で設計を決める機会がなかった
- 障害対応や問い合わせ対応など、開発以外の仕事が際限なく増えた
求人票では、これらの不安に先回りして答えることが大切です。
軸となる領域を決める
フルスタックの求人でも、軸となる領域を一つ決めます。軸があると、候補者は「この領域で深い経験を積みながら、ほかの領域にも手を広げられる」と読めます。
| 軸の例 | 書き方の例 | 合う候補者 |
|---|---|---|
| バックエンド軸 | 「APIとデータの設計を中心に担い、画面の実装も必要に応じて行う」 | サーバー側の経験が厚く、画面にも関心がある人 |
| フロントエンド軸 | 「画面の設計と実装を中心に担い、必要なAPIも自分で作る」 | 画面の経験が厚く、サーバー側にも手を広げたい人 |
| プロダクト軸 | 「一つの機能を企画の相談から公開まで通して担う」 | 技術の領域より、機能を作り切ることにやりがいを感じる人 |
軸を決めるときは、今のチームで一番足りていない領域を考えます。バックエンドの担当が手一杯ならバックエンド軸、画面の改善が追いついていないならフロントエンド軸です。
エージェントベストの見解
フルスタックエンジニアの採用を考える会社に、当社が先に確かめるのは「なぜ一人に幅広く担ってほしいのか」です。理由が「人が少なく、領域ごとに人を採る余裕がない」なら、それを正直に書いたうえで、軸を決めて募集します。理由が「機能を通して作れる人がいると、開発が速くなる」なら、それは仕事の魅力として書けます。困るのは、理由が言葉になっていないまま「幅広く」と書くケースです。その場合、面接で候補者から「なぜフルスタックなのですか」と聞かれたときに、面接官ごとに答えが違ってしまいます。理由が一文で言えれば、求人票も面接の説明も一貫します。当社は、この一文を求人票の冒頭に置くことを勧めています。幅広さの理由が分かると、候補者は何でも屋ではなく、意図のある役割だと受け止めます。
広く担う範囲と、担わない範囲を書く
軸を決めたら、広く担う範囲と、担わない範囲の両方を書きます。
- 担う範囲:画面の実装、APIの設計と実装、データの設計、テストの自動化、インフラの設定の変更
- 担わない範囲、または一部だけ担う範囲:インフラの大きな構成の変更(専任の担当者がいる)、デザイン(デザイナーが担う)、障害の一次対応(当番の仕組みで分担する)
担わない範囲を書くことは、何でも屋ではないことを示す一番分かりやすい方法です。特に、障害対応や問い合わせ対応がどう分担されているかは、候補者が気にする点です。当番の仕組みがあるなら、その頻度の目安を書いておくと安心感につながります。
使っている技術は、領域ごとに分けて書きます。すべてを一覧で並べると、候補者は全部を求められていると受け取ります。「必須はバックエンドの〇〇の経験。フロントエンドの△△は入社後に身につけていただければ構いません」のように、必須と入社後に学べるものを分けます。
声をかける相手の選び方
フルスタックの候補者に対しても、Greenでは企業側から「気になる」やスカウトで接点を作れます。フルスタックの候補者を探すときは、職務経歴の中で、軸の領域の経験が厚いかを先に見ます。そのうえで、ほかの領域にも関わった経験や関心があるかを確かめます。
- 軸の領域の経験が厚く、ほかの領域も経験している人:最優先で声をかける
- 軸の領域の経験が厚く、ほかの領域に関心がある人:ほかの領域を学べる環境を示して声をかける
- 小さなチームで幅広く担ってきた人:どの領域が一番得意かを確かめたうえで、軸と合うかを見る
スカウトの文面では、軸の領域と、広く担う理由を一文ずつ書きます。「バックエンドを中心に担っていただきますが、機能を通して作れることを大切にしているため、画面の実装にも関わっていただきます」のように書くと、候補者は何を期待されているかを理解できます。エンジニアへの文面の書き方はエンジニア向けスカウト文面の型でも整理しています。
選考で確かめること
選考では、軸の領域での深さと、ほかの領域への広がりを分けて確かめます。
- 軸の領域で、設計を自分で決めた経験。そのとき何を比べて決めたか
- 慣れない領域の仕事を担ったとき、どう学び、どこで人に頼ったか
- 一つの機能を通して作った経験があれば、その中で一番時間がかかった部分
技術課題を出す場合は、すべての領域を確かめようとすると負担が大きくなります。軸の領域に絞った課題にし、ほかの領域は面接で話を聞く形にすると、候補者の負担を抑えられます。
エージェントベストの見解
フルスタックの求人をGreenで運用していると、応募の段階では順調でも、入社後しばらくして「思っていた仕事と違った」という声が出る会社があります。当社が運用を見てきた中で多い原因は、求人票では軸を決めていたのに、入社後の配置で軸が守られなかったことです。人手が足りない領域に回され続け、軸の領域の仕事が後回しになる。これは求人票の問題ではなく、受け入れの問題です。当社が求人票を作るときは、軸と一緒に「入社後半年の仕事の配分の目安」を決めてもらい、配属先の責任者にも共有します。求人票に書いた軸を入社後も守れるかどうかを、採用を始める前に責任者と確かめておくことを勧めています。
まとめ
- フルスタックの求人でも軸となる領域を一つ決める。軸があると何でも屋に見えない
- 幅広く担ってほしい理由を一文で書き、求人票の冒頭に置く
- 担う範囲と担わない範囲の両方を書く。障害対応や問い合わせ対応の分担も示す
- 技術は領域ごとに分け、必須と入社後に学べるものを区別する
- 求人票に書いた軸を、入社後の配置でも守れるかを事前に確かめる
よくある質問
フルスタックとバックエンドの求人を分けて出すべきですか
軸がバックエンドで、ほかの領域は補助的に担う程度なら、バックエンドの求人として出し、「画面の実装にも関わる機会がある」と書くほうが伝わることがあります。機能を通して作ることが仕事の中心なら、フルスタックとして出します。
若手のエンジニアをフルスタックとして育てることはできますか
できますが、教える人がいることが前提です。若手に最初から幅広く任せると、どの領域でも深い経験が積めないまま時間が過ぎることがあります。まずは軸の領域で経験を積み、徐々に範囲を広げる計画を示すと、候補者も安心して応募できます。
スタートアップの一人目のエンジニアは、フルスタックで募集すべきですか
一人目のエンジニアは、結果として幅広く担うことになります。その場合も、軸を決め、外部の開発会社や技術顧問の協力がある場合はそれも書きます。技術の判断を任せる立場であれば、Greenでテックリード・CTO候補を採るの考え方も参考になります。
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