Greenでプロダクトマネージャーを採る|裁量の範囲を具体的に書く
プロダクトマネージャーの求人票には、「裁量の大きい環境」「プロダクトの成長をリードしていただきます」という言葉がよく並びます。けれども、経験のある候補者はこの言葉を額面どおりには受け取りません。前職で「裁量がある」と言われて入ったのに、実際には経営の決めたことを形にするだけだったという経験を持つ人が少なくないからです。この記事では、Greenでプロダクトマネージャーを採るときに、裁量の範囲を具体的な言葉で書く方法と、スカウト・選考へのつなげ方を整理します。Greenとは、株式会社アトラエが運営する、IT・Web業界を軸にした中途採用の求人サイトです。
候補者は「誰が最後に決めるか」を読んでいる
プロダクトマネージャーの候補者が求人票で探しているのは、自分がどの決定に責任を持てるかです。具体的には、次の四つの決定が誰の手にあるかを見ています。
- ロードマップ:次の四半期や半年で、何に取り組むかを決めるのは誰か
- 仕様:個々の機能をどう作るかを決めるのは誰か
- 数値目標:プロダクトの成果を何で測り、目標をいくらにするかを決めるのは誰か
- 予算や体制:開発チームの人数や外部への発注を決めるのは誰か
すべてをプロダクトマネージャーが決める会社はほとんどありません。大切なのは、それぞれについて「PMが決める」「PMが提案し、経営が承認する」「経営が決め、PMが実行する」のどれなのかを、正直に書くことです。
裁量の範囲を表で示す
求人票の中に、次のような表を入れると、候補者は一目で役割の輪郭をつかめます。
| 決定 | 本ポジションの関わり方(例) |
|---|---|
| ロードマップ | 案をまとめ、月に一度の経営会議で合意する |
| 仕様 | 担当領域については最終決定者 |
| 数値目標 | 事業責任者と一緒に設定し、進捗を毎週共有する |
| 予算や体制 | 提案はできるが、決定はCTOと経営 |
表を作るときに迷ったら、直近の半年で実際に誰が決めていたかを振り返ります。理想の形ではなく、今の形を書くのが原則です。そのうえで、「入社後は〇〇の決定まで任せていきたい」と今後の方向を一文添えると、候補者は成長の余地を判断できます。
エージェントベストの見解
プロダクトマネージャーの採用相談で、最も多いのは「経営者がプロダクトの方向を決めているが、細部まで見る時間がなくなったので任せたい」という状況です。この場合、求人票で「裁量が大きい」と書いてしまうと、入社した人は経営者の判断と自分の判断がぶつかるたびに戸惑います。経営者も、任せたつもりで口を出してしまいます。当社が求人票を作るとき、経営者に「最近、自分で決めたプロダクトの判断を三つ挙げてください。そのうち、新しい人に任せられるのはどれですか」と聞くことがあります。答えが一つもなければ、まだ任せる準備ができていないので、まずは仕様の決定から任せる形で募集します。裁量を正確に小さく書いた求人のほうが、入社後の関係が長く続くと考えています。
プロダクトの状態も書く
裁量と並んで候補者が気にするのが、プロダクトがどの段階にあるかです。
- 立ち上げ期:利用者に価値が届くかどうかを確かめている段階。仮説と検証の速さが求められる
- 成長期:利用者が増え、機能の追加と改善を同時に進める段階。優先順位の判断が中心になる
- 成熟期:大きな方向は定まり、効率化や新しい領域への展開を考える段階
同じ「プロダクトマネージャー」でも、段階によって必要な経験が違います。立ち上げを経験した人が成熟期のプロダクトに入ると物足りなさを感じ、成熟期のプロダクトを担ってきた人が立ち上げに入ると、決まっていないことの多さに戸惑うことがあります。段階を書き、その段階を経験した人や、その段階に関わりたい人を対象にすると、ずれが減ります。
声をかける相手の選び方
Greenでは、求人を出して応募を待つほかに、「気になる」やスカウトで企業から働きかけることもできます。プロダクトマネージャーは経歴の幅が広い職種で、エンジニア出身、デザイナー出身、事業企画出身、コンサルティング出身などさまざまです。
声をかける相手を決めるときは、出身よりも、どの決定に関わってきたかに注目します。
- 仕様の決定を中心にしてきた人:開発チームとの距離が近い。仕様を任せたい会社に合う
- 数値目標の設計を中心にしてきた人:事業の視点が強い。成長期で優先順位を判断してほしい会社に合う
- ロードマップの策定を中心にしてきた人:経営との対話に慣れている。経営者から任されたい領域が広い会社に合う
スカウトの文面では、候補者の経歴のどこを見たかを書き、そのうえで自社の裁量の範囲を簡潔に伝えます。「担当領域の仕様は最終決定していただきます」と一文あるだけで、プロダクトマネージャーの候補者は文面を真剣に読みます。
選考では「決めてきたこと」と「決めなかったこと」を聞く
選考では、過去に担当したプロダクトで、何を決め、何をあえて決めなかったかを聞きます。プロダクトマネージャーの力は、やることを増やす判断より、やらないことを決める判断に表れやすいからです。
自社のプロダクトを事前に触ってもらい、「最初の三か月で手をつけるなら何か」を話してもらう形も考えられます。正解を求めるのではなく、限られた情報からどこに目をつけ、何を確かめたいと言うかを見ます。候補者から「この数字は見られますか」「この機能はなぜこうなっているのですか」と質問が返ってくれば、それ自体が判断材料になります。
面接には経営者か事業責任者が入ります。入社後に裁量の範囲で調整する相手と、選考の段階で話しておくことが、候補者の判断材料になります。求人票に書いた裁量の範囲と、面接での説明が一致しているかどうかを、候補者は見ています。
エージェントベストの見解
プロダクトマネージャーの採用では、媒体で採るか紹介で採るかで、候補者との最初の会話の中身が変わります。紹介の場合は担当者が企業の事情を口頭で伝えるため、裁量の範囲が多少曖昧でも面接まで進むことがあります。その代わり、入社前に期待のずれを修正する機会が面接の場に限られます。Greenのような求人型では、求人票に書かれた裁量の範囲がそのまま候補者の判断材料になるので、曖昧な求人票では応募が来ません。逆に言えば、裁量の表を書き切った会社は、求人型でも合う候補者に出会いやすくなります。紹介を使う会社にも、まず求人型の媒体に出せる水準まで求人票を書き込むことを勧めているのは、そのためです。
まとめ
- プロダクトマネージャーの候補者は、「誰が最後に決めるか」を読んでいる
- ロードマップ・仕様・数値目標・予算の四つの決定について、関わり方を表で示す
- 理想ではなく今の形を書き、今後任せたい範囲を一文添える
- プロダクトの段階を書き、出身ではなく関わってきた決定で声をかける相手を選ぶ
- 選考では、決めてきたことと決めなかったことを聞く
よくある質問
プロジェクトマネージャーとプロダクトマネージャーを一人で兼ねてもらってもよいですか
小さな組織では珍しくありません。その場合は、どちらの比重が大きいかを求人票に書きます。進行の管理が中心なのに「プロダクトマネージャー」と書くと、候補者の期待とずれます。プロジェクトマネージャーの書き方はGreenでプロジェクトマネージャーを採るで整理しています。
経営者が細かく口を出すことは、正直に書くべきですか
「経営者もプロダクトに深く関わっている」と書くことは、隠すより良い結果につながります。経営者との距離が近いことを魅力と感じる候補者もいます。大切なのは、その関わり方を面接でも同じように説明することです。
プロダクトマネージャーの経験がない人を採ることはできますか
できます。その場合は、プロダクトマネージャーの経験者が社内にいるか、育成の体制があるかを書きます。一人目のプロダクトマネージャーを未経験の人にする場合は、経営者が近くで支える前提で募集します。
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