長期インターン生の育成に時間をかけられないとき
長期インターンを受け入れたいが、社員はみな自分の業務で手一杯で、学生を育てる時間が取れない。少人数の会社や、事業が伸びている最中の会社ほど、この悩みを抱えています。育成に時間をかけられないときは、育成の時間を増やす方法を探すより、育成に時間がかからない形に仕事と受け入れ方を組み替えるほうが現実的です。 時間がないまま受け入れると、学生は放っておかれ、短期で離れていきます。この記事では、学生向けの長期インターン求人サイトInfraなどで受け入れを考える会社に向けて、少ない時間で受け入れを回す方法を整理します。
まず、どこで時間がかかっているかを見る
「育成に時間がかかる」と一口に言っても、時間の使い道はいくつかに分かれます。
| 時間の使い道 | よくある状態 |
|---|---|
| 説明 | 同じ説明を学生が入るたびに一からしている |
| 確認 | 学生の作業を一つずつ見直し、直している |
| 質問対応 | 学生からの質問に、その都度手を止めて答えている |
| 仕事探し | 学生に任せる仕事を、毎日その場で考えている |
どこに時間を取られているかで、打ち手が変わります。多くの会社で一番大きいのは、4つ目の「仕事探し」です。学生に任せる仕事が決まっていないと、社員は毎日「今日は何をやってもらおうか」と考えることになり、それがそのまま負担になります。
打ち手1|任せる仕事を先に切り出す
育成の時間を減らすうえで最も効果が大きいのは、学生に任せる仕事を受け入れの前に切り出しておくことです。
切り出すときは、次の条件に合う仕事を選びます。
- 手順が決まっている:一度教えれば、同じ手順で繰り返せる
- 出来上がりが確認しやすい:正しくできたかどうかが、短い時間で判断できる
- 急ぎではない:多少時間がかかっても、業務が止まらない
- 続けて発生する:一度きりではなく、毎週・毎月発生する
この4つを満たす仕事は、教える時間が最初の一度で済み、確認の時間も短くなります。たとえば、定期的な調べもの、データの整理、決まった形式の資料づくりなどが当てはまりやすい仕事です。
切り出した仕事は一覧にして、学生が自分で次の仕事を選べるようにしておくと、仕事探しの時間がなくなります。
打ち手2|説明を手順書に置き換える
同じ説明を繰り返している場合は、説明を手順書にします。手順書は立派なものである必要はありません。画面の写真に短い説明を添えたもの、作業の様子を録画したものでも十分です。
手順書をつくるときのコツは、次のとおりです。
- 最初の学生に教えるときに、学生自身に手順書を書いてもらう
- 社員はそれを確認し、足りないところを直すだけにする
- 次の学生が来たら、その手順書で学び、分かりにくかったところを直してもらう
学生に書いてもらうと、社員の時間はかかりにくく、学生にとっても仕事を理解する機会になります。手順書は、学生が入れ替わるたびに少しずつ良くなっていきます。
エージェントベストの見解
育成に時間をかけられない会社から長期インターンの相談を受けると、当社はまず「今の社員の仕事の中で、手順書にできるものはどれか」を一緒に書き出すことを勧めます。インターン生を受け入れる準備をしているつもりが、実は社員の業務の棚卸しになっている、ということがよくあります。そして、その棚卸しの結果、インターン生に任せる仕事が見つかるだけでなく、社員同士の引き継ぎも楽になった、という話を聞きます。長期インターンの受け入れは、育成の時間を取られる負担として見られがちですが、業務を言葉にするきっかけとしても使えます。当社はInfraの代理店として求人原稿の作成から関わりますが、原稿に書く「任せる仕事」が具体的に書ける会社は、受け入れ後の育成の負担も小さく済む傾向があると見ています。
打ち手3|先輩インターン生に教える役を任せる
すでにインターン生がいる会社は、新しく入る学生の教育を先輩のインターン生に任せる方法があります。
- 新しい学生の最初の1〜2週間、先輩が隣で一緒に作業する
- 質問はまず先輩にしてもらい、先輩が答えられないことだけ社員に上げる
- 先輩には、教える役割を任されたことを、仕事の幅が広がったこととして伝える
この方法は、社員の時間を減らすだけでなく、先輩のインターン生にとっても成長の機会になります。教えることで、自分の仕事への理解も深まります。ただし、先輩に任せきりにせず、週に一度は社員が様子を確認します。
打ち手4|質問の受け方を決める
質問のたびに手を止められるのが負担になっている場合は、質問の受け方を決めます。
- 急ぎでない質問は、チャットの決まった場所に書いてもらい、1日に2回まとめて答える
- 急ぎの質問だけ、直接声をかけてもらう
- よく出る質問は、手順書に追記する
まとめて答える形にすると、社員は自分の作業を途切れさせずに済みます。学生にとっても、質問を書き出すことで自分の頭が整理される面があります。
外に任せられる範囲
育成そのものは社内でしかできませんが、育成の手前の作業には外に任せられるものがあります。たとえば、求人原稿の作成、応募の受け付け、面談の日程の調整などです。こうした作業に社員の時間を取られていると、受け入れ後の育成に回す時間がさらに減ります。
当社はInfraの代理店として、募集原稿づくりや掲載後の見直しを引き受けています。募集の段階の作業を外に出し、社員の時間を受け入れ後の育成に寄せる、という配分の見直しも一つの方法です。どこまで外に出すかは、社内に残る時間と、受け入れたい人数を見比べて決めます。
受け入れる人数を時間から決める
育成に時間をかけられない会社ほど、受け入れる人数を慎重に決める必要があります。人数を決めるときは、次の順で考えます。
- 社員が週に何時間、インターン生のために使えるか
- 最初の1か月は、1人あたり週に何時間かかるか
- 慣れてからは、1人あたり週に何時間かかるか
最初の1か月は時間がかかるので、一度に何人も受け入れると負担が集中します。時間に余裕がない会社は、1人ずつ時期をずらして受け入れ、前の学生が慣れてから次の学生を迎える形にすると、負担を平らにできます。
エージェントベストの見解
時間がない会社ほど、「どうせ受け入れるなら一度にまとめて」と考えがちです。まとめて受け入れたほうが、説明が一度で済むように見えるからです。しかし実際には、最初の1か月は一人ひとりが別々の場面でつまずき、質問の数は人数分増えます。当社は人材紹介も行っており、社会人の採用でも、一度に複数人を入社させた部署で教える側が疲弊する場面を見てきました。長期インターンでも同じです。時間に余裕がない会社には、受け入れの時期を1〜2か月ずつずらし、先に入った学生が後から入る学生を教えられる状態をつくってから次を迎える形を勧めています。募集の時期もそれに合わせて分けておくと、応募が一度に集まりすぎて面談に追われることも防げます。受け入れの時期を分ける考え方は、長期インターンが短期で終わってしまうときで扱った定着の話ともつながります。
まとめ
- 育成に時間がかかる理由を、説明・確認・質問対応・仕事探しに分けて見る
- 最も効果が大きいのは、任せる仕事を受け入れの前に切り出しておくこと
- 説明は手順書に置き換え、手順書は学生に書いてもらって社員が直す
- 先輩インターン生に教える役を任せ、質問はまとめて答える形にする
- 受け入れる人数は社員の時間から決め、時期をずらして迎える
よくある質問
社員が1人しかいない部署でも、長期インターンを受け入れられますか
受け入れている会社はありますが、その社員の繁忙期と重なると学生が放っておかれやすくなります。任せる仕事を事前に切り出し、手順書を用意したうえで、1人ずつ受け入れるのが現実的です。
手順書をつくる時間もありません
最初の学生に教えるときに、学生自身に手順書を書いてもらう方法なら、社員の時間はほとんど増えません。社員は書かれたものを確認するだけで済みます。
育成に時間をかけないと、学生は物足りなく感じませんか
決まった仕事だけが続くと、物足りなく感じる学生もいます。慣れてきたら、任せる範囲を少しずつ広げる、判断を一つ任せる、後輩に教える役を任せるといった形で、仕事の幅を変えていきます。
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