新規事業の長期インターンを採る|不確実な仕事を任せる準備
新規事業の立ち上げに関わる長期インターンは、学生にとって魅力のある募集です。何もないところから事業が形になる過程に立ち会える機会は、学生のうちには多くありません。一方で、新規事業の仕事は不確実です。方向が変わる、計画が止まる、検証の結果で事業そのものをやめる。そうした変化が日常的に起きます。結論から言うと、新規事業の長期インターンは、方向が変わることを前提に「変わっても学生の仕事が無駄にならない形」を用意しておくことが、受け入れの準備の中心になります。 変化を想定していないと、方針転換のたびに学生は自分の仕事が否定されたと感じ、意欲を失います。この記事では、学生向けの長期インターン求人サイトInfraで新規事業の仕事を募集する会社に向けて、不確実な仕事を任せる準備を整理します。
新規事業の仕事の特徴
新規事業の仕事は、既存の事業の仕事と比べて次の特徴があります。
- やるべきことが決まっていない:何を検証するかを、検証しながら決めていく
- 方向が変わる:顧客の反応を見て、狙う顧客や商品を変える
- 成果が見えにくい:売上が立つまでに時間がかかる
- 少人数で進める:担当の社員が一人か二人ということも多い
この特徴は、学生にとって学びの多い環境である一方、指示が曖昧になりやすく、何をすればよいか分からない時間が生まれやすい環境でもあります。受け入れる側が特徴を理解し、学生にも事前に伝えておくことが大切です。
大企業の新規事業部門での受け入れについては大企業の新規事業部門で長期インターンを受け入れるで詳しく扱っています。この記事では、会社の規模を問わず、新規事業という仕事の性質に絞って整理します。
任せる仕事を「検証の単位」で切る
新規事業の仕事を学生に任せるときは、事業全体ではなく、一つの検証を単位にして切り出すと、方向が変わっても学生の仕事が無駄になりにくくなります。
検証の単位とは、次のような小さな問いです。
- この顧客層は、この課題に困っているか
- この価格なら、試しに使ってもらえるか
- この売り方で、話を聞いてもらえるか
一つの検証には、問い・やること・期限・結果の判断基準を決めます。学生はその検証を担当し、結果をまとめる。結果がどうであっても、検証が終われば学生の仕事は一区切りになります。
検証の結果、事業の方向が変わることになっても、それは学生の検証が役に立ったということです。「あなたの検証の結果、この方向はやめることにした」と伝えられれば、学生は自分の仕事が判断に使われたと感じられます。
エージェントベストの見解
新規事業の長期インターンで起きやすいのは、方針転換を学生に伝えないまま進めてしまうことです。社員同士の会議で方向が変わったのに、学生は前の方向の作業を続けている。数日後にそれを知った学生は、自分だけ取り残されたと感じます。当社が受け入れの準備で勧めるのは、方向が変わったときに学生に伝える「決まった場」を作っておくことです。週に一度の短い打ち合わせで、今週の検証の結果と、来週の方向を共有する。方向が変わった場合は、その理由と、学生のこれまでの仕事がどう生かされたかを伝える。この場が決まっていれば、変化が多い新規事業でも、学生は自分の位置を見失わずに済みます。順番としては、学生を迎える前に、この週次の場を誰が持つかを決めておくことです。担当の社員が忙しくてこの場を飛ばすようになったら、受け入れの体制を見直す合図だと考えてください。
事業が止まったときの扱いを決めておく
新規事業は、途中で止まることがあります。受け入れの前に、その場合の学生の扱いを決めておきます。
- 別の仕事に移ってもらうか:既存事業の仕事や、別の新規事業に移る
- インターンを終えるか:事業の終了と同時に、受け入れも終える
- 学生にどう伝えるか:理由と今後の選択肢を、早めに伝える
事業が止まると、担当の社員も別の仕事に移ることが多く、学生への連絡が後回しになりがちです。止まる可能性があることを受け入れ時に伝え、止まった場合の選択肢を示しておくと、学生も心の準備ができます。
雇用契約を結んで受け入れている場合、事業の終了に伴って契約をどう扱うかは、契約の内容や労働の法令に沿って判断する必要があります。判断に迷う場合は、社会保険労務士などの専門家に確認してください。
原稿と選考の考え方
Infraの原稿では、新規事業の不確実さを隠さずに書きます。
- 事業の段階:構想の段階か、検証の段階か、売上が立ち始めた段階か
- 担当の社員の人数:一人か、チームか
- 学生に任せる検証の例:顧客への聞き取り、試作品の反応の確認など
- 方向が変わることがあること:正直に書く
- 振り返りの場:週に一度の共有の場など
不確実さを書いておくと、変化を楽しめる学生が集まり、決まった仕事を求める学生は応募を控えます。どちらの学生が良いということではなく、仕事と学生の相性を、原稿の段階で合わせておくということです。
選考では、決まっていないことへの向き合い方を確かめます。面談で「やることが決まっていない一週間があったら、何をするか」と聞いてみると、学生が自分で動けるかが見えます。また、何かを始めて途中でやめた経験を聞き、そのときに何を学んだかを話せるかも参考になります。
学びを残す振り返りの型
新規事業では、検証の結果が事業として形にならないこともあります。それでも、学びを残しておけば、次の検証や次の事業に生かせます。学生に、検証ごとに次の型で振り返りを残してもらいます。
- 問い:何を確かめようとしたか
- やったこと:誰に、何をしたか
- 結果:何が分かったか
- 次への示唆:この結果から、次に何を確かめるべきか
この振り返りが蓄積されると、学生が卒業した後も、会社にとっての資産として残ります。学生にとっても、新卒の就職活動で自分の経験を説明する材料になります。
エージェントベストの見解
新規事業の長期インターンを検討している会社に、当社が率直に伝えることがあります。それは、事業の方向がまだまったく見えていない段階では、学生を迎えるより先に、社員自身が顧客に会いに行くほうが早い場合がある、ということです。当社は長期インターンの媒体を扱う一方、人材紹介で事業の立ち上げ経験者の採用にも関わっていますが、構想の段階で学生を迎えた会社は、学生に何を任せるかが決まらず、学生も会社も手応えを得られないことがあります。学生の力が生きるのは、検証したい問いがいくつか見えてきて、それを確かめる手が足りない段階です。今の事業がどの段階にあるかを見極め、問いが見えてから募集を出す。募集の時期を数か月遅らせることが、結果的に学生にとっても会社にとっても良い受け入れにつながることがあります。
まとめ
- 新規事業の長期インターンは、方向が変わることを前提に受け入れの準備をする
- 仕事は事業全体ではなく、一つの検証の単位で切り出す
- 方針転換を伝える週次の場を、学生を迎える前に決めておく
- 事業が止まった場合の学生の扱いと伝え方を、事前に決めておく
- 検証ごとに問い・やったこと・結果・次への示唆の型で振り返りを残す
よくある質問
新規事業の長期インターンに向いている学生はどんな学生ですか
決まっていないことに自分で手を動かせる学生が向いている傾向があります。ただし、自分で動ける学生でも、何を確かめるかの問いがないと迷います。学生の性格だけに頼らず、検証の単位で仕事を切り出すことが、どの学生にとっても働きやすい環境になります。
学生に顧客への聞き取りを任せてもよいですか
任せることはできますが、最初は社員と一緒に行き、聞き方を見せてから任せると安心です。聞き取りの相手には、会社の名前で連絡することになるため、連絡の文面は社員が確認してから送ります。聞き取った内容の記録の型も決めておくと、学生ごとの差が小さくなります。
新規事業が止まった場合、学生の経験は無駄になりませんか
検証の振り返りを残しておけば、学生にとっても会社にとっても無駄にはなりません。学生は、何を確かめ、何が分かったかを自分の言葉で説明できるようになります。それは、事業が成功したかどうかにかかわらず、学生の力として残ります。
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