データ分析の長期インターンを採る|扱えるデータの範囲を決める
データ分析の長期インターンは、統計や機械学習を学ぶ学生からの関心が高い職種です。一方で、受け入れる会社にとっては、学生にどこまでのデータを見せてよいかという、他の職種にはない問題があります。結論から言うと、データ分析の長期インターンは、募集を始める前に「学生が触れてよいデータの範囲」を決めておくことが、原稿・選考・受け入れのすべての前提になります。 範囲が決まらないまま採用すると、受け入れた学生が数週間なにも触れずに待つことになりがちです。この記事では、学生向けの長期インターン求人サイトInfraでデータ分析の学生を募集する会社に向けて、範囲の決め方から報告の型までを整理します。
なぜ「データの範囲」が先なのか
営業やマーケティングの長期インターンなら、初日から先輩に同行したり、資料を作ったりできます。データ分析は違います。仕事の材料そのものがデータであり、そのデータには顧客の情報や売上の詳細が含まれていることが多いからです。
受け入れが決まってから社内で「学生にこのデータを渡してよいか」を相談し始めると、情報システムや法務の確認に時間がかかります。その間、学生は公開データで練習するか、資料を読むだけの日が続きます。学生の側からすると、「分析ができると思って来たのに、データがない」状態です。
そのため、募集の前に次の三段階で範囲を決めておきます。
- 初日から渡せるもの:個人が特定できない集計値、社内の公開資料、サンプルデータ
- 一定期間後に渡すもの:個人情報を除いた明細、匿名化したログ
- 学生には渡さないもの:個人が特定できる顧客情報、未公開の財務情報
この三段階が決まれば、原稿に書く仕事内容も具体的になり、選考で何を確かめるかも決まります。
原稿に書くこと
データ分析の長期インターンを探す学生は、仕事内容の言葉に敏感です。「データ分析」と一言で書くと、機械学習のモデル作りを想像する学生もいれば、表計算での集計を想像する学生もいます。
- 最初に扱うデータの種類:アクセスログ、売上の集計、アンケートの結果など
- 使う道具:表計算、SQL、Python、BIツールなど、実際に使うもの
- 分析の結果を誰に渡すか:営業、マーケティング、経営陣など
- データの扱いのルール:個人情報を扱わない範囲から始める、など
- 分析担当の社員がいるか:一人で任されるのか、社員の下につくのか
特に最後の点は、学生が働く姿を想像するうえで大きな材料です。分析担当の社員がいない会社で学生に「データ活用を推進してほしい」と期待するなら、その期待をそのまま書いておくほうが、合う学生に届きます。
エージェントベストの見解
データ分析の長期インターンを始める会社で、受け入れのあとに起きやすいのは「分析はできたが、誰も使わなかった」という状態です。学生が丁寧な分析結果を出しても、それを受け取って判断する人が決まっていないと、報告は資料のまま残ります。学生にとっても、自分の分析が何に使われたか分からないのは、続ける理由を失うきっかけになります。当社が原稿づくりの段階で確認するのは、データの範囲と並んで「分析の結果を受け取る人は誰か」です。営業部長なのか、マーケティングの担当者なのか。受け取る人が決まると、学生が答えるべき問いもはっきりします。問いがない状態で「何か分析してほしい」と頼むのは、学生に問いを立てる仕事まで任せることになり、長期インターンの最初の仕事としては重すぎます。
学生の分析経験をどう見るか
応募してくる学生の分析経験は、授業、研究、コンペティション、独学とさまざまです。経験の種類より、次の点を見ると比べやすくなります。
- 問いを自分で言えるか:何を明らかにしたくて分析したのか
- データの汚れにどう向き合ったか:欠けている値、表記の揺れ、外れ値をどう扱ったか
- 結果を誰かに説明したか:指導教員、チームメンバー、発表の場
- 分からなかったことを言えるか:分析の限界を自分で書けるか
研究室で実データを扱った学生は、データの汚れへの向き合い方を経験していることが多い一方、ビジネスの問いに慣れていない場合があります。コンペティションの経験がある学生は手法には強い一方、問いが最初から与えられた状態での経験が中心になります。どちらにも伸ばせる余地があり、受け入れ後に何を教えるかが変わります。
面談では、学生が過去に扱ったデータについて「一番困った点は何か」を聞くと、実務に近い話が出てきます。
受け入れ時に決めておく扱い
データを扱う職種は、受け入れの手続きにも注意が必要です。
- 秘密保持:雇用契約や誓約書で、扱う情報の範囲と、インターン終了後の扱いを確認する
- アクセス権限:どのデータベースや共有フォルダに、いつから入れるか
- 持ち出しのルール:私物の端末への保存、個人のクラウドへのアップロードを認めるか
- 研究や論文での利用:学生が自分の研究に使いたいと言った場合の扱い
四つ目は、大学院生を受け入れる会社で聞かれることがあります。原則として社内のデータは研究に使わない、使う場合は別途相談、と決めておくと迷いません。
分析の作業は区切りが見えにくく、時間が延びがちです。雇用で受け入れる学生には最低賃金と労働時間の決まりが適用されるので、一つの分析にかける時間の目安を決めておきます。判断に迷う点は社会保険労務士などの専門家に確認してください。
成果を事業につなぐ報告の型
学生の分析を事業に生かすには、報告の型を決めておくと便利です。次の四つを一枚にまとめてもらう形が使いやすいものです。
- 問い:何を明らかにしたかったか
- 使ったデータと範囲:期間、件数の規模感、除外したもの
- 分かったこと:結論を一文で
- 次に確かめたいこと:この分析で分からなかったこと
受け取る側は、三つ目と四つ目だけを読んで判断できます。学生にとっても、毎回同じ型で書くことで、分析を説明する力が伸びていきます。
エージェントベストの見解
データ分析の長期インターンを、新卒採用の入口として考える会社もあります。その場合に気をつけたいのは、長期インターンで評価した学生が、新卒の就職活動では別の会社の分析職も並べて比べるという点です。インターン中に良い関係ができていても、新卒の選考時期に「他社では入社後すぐに大きなデータを扱える」と聞けば、気持ちが揺れることはあります。当社はInfraの代理店であり、新卒向けの媒体や人材紹介も扱っているので、学生がどの段階で何を比べるかを両側から見ています。長期インターンを新卒採用につなげたいなら、インターン中から「新卒で入ったら、どの範囲のデータを扱えるか」を具体的に伝えておくことです。インターンで渡しているデータの範囲と、正社員になったあとの範囲の違いを説明できる会社は、比べられたときにも判断の材料を渡せます。
インターンから本選考への流れはインターンから本選考への流れの設計も参考にしてください。
まとめ
- 募集の前に、初日から渡すデータ・後から渡すデータ・渡さないデータの三段階を決める
- 原稿には扱うデータの種類、使う道具、結果を渡す相手、分析担当の社員の有無を書く
- 学生の経験は、問いを言えるか、データの汚れへの向き合い方、説明の経験で見る
- 分析の結果を受け取る人を決めてから、学生に問いを渡す
- 報告は「問い・データ・分かったこと・次に確かめること」の型に揃える
よくある質問
個人情報を一切渡さずに、意味のある分析を任せられますか
任せられる仕事は多くあります。集計値の推移、匿名化したログ、アンケートの自由記述の分類などは、個人が特定できない形で扱えます。最初はこうした範囲から始め、学生の慣れと社内の確認に合わせて広げていく方法が現実的です。
機械学習の経験がある学生を優先すべきですか
業務で機械学習を使う予定があるかどうかで決まります。実際の仕事が集計と可視化中心なら、手法の知識より、データの汚れに向き合える力と、結果を説明できる力のほうが役立ちます。原稿に実際に使う道具を書いておけば、合う学生が応募してきます。
分析担当の社員がいなくても受け入れられますか
受け入れること自体はできますが、学生が一人で問いを立て、一人でデータを整える状態になりやすいことは理解しておく必要があります。分析の結果を受け取る人を一人決め、週に一度でも結果を一緒に見る時間を取ると、学生が孤立しにくくなります。
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