マーケティング職の長期インターンを採る|数字を持たせる設計
マーケティング職は、長期インターンを探す学生の中で人気の高い職種の一つです。授業で学んだことを実際に試してみたい、就職活動で話せる経験にしたい、という学生が多く応募します。ところが、入ってみると「データ入力と資料作りばかりで、マーケティングをしている実感がない」と感じて辞めてしまう学生もいます。結論から言うと、マーケティング職の長期インターンは、学生に「自分の担当の数字」を一つ持たせ、その数字を見て次の打ち手を考えるところまでを任せる設計にすると、学生は実感を持ち、会社にとっても成果につながります。 この記事では、持たせる数字の選び方、原稿の書き方、声をかける相手、面接、育て方を整理します。
マーケティング志望の学生が見ているところ
マーケティング職の求人を開いた学生が確かめていることは、主に次のとおりです。
- 扱う手段:広告、SEO、SNS、メール配信、イベント、どれに関わるのか
- 扱う商材:自社のサービスか、取引先のものか。学生向けか、法人向けか
- 作業か、考える仕事か:手を動かすだけなのか、自分で考えて提案できるのか
- 数字に触れるか:成果の数字を見られるのか、自分で改善できるのか
3つ目と4つ目が、学生の判断を分けるところです。マーケティング志望の学生は、自分で考えて数字を動かす経験を求めています。原稿で「データ集計」「資料作成」とだけ書くと、作業ばかりの仕事に見え、意欲の高い学生ほど他の求人を選びます。
持たせる数字の選び方
学生に持たせる数字は、次の条件で選びます。
- 学生の行動で動かせる:学生が工夫すれば変わる数字であること
- 短い期間で変化が見える:週単位で変化が分かること
- 会社の成果とつながっている:その数字が上がると、会社にとって意味があること
- 大きすぎない:事業全体の売上ではなく、その一部分の数字
手段ごとの数字の例
| 手段 | 持たせる数字の例 |
|---|---|
| 広告 | 担当する広告の、クリックされた割合や、問い合わせにつながった数 |
| SEO | 担当する記事の、検索での表示回数やクリック数 |
| SNS | 担当する投稿の、反応の数や、サイトへの流入の数 |
| メール配信 | 担当する配信の、開封された割合や、クリックされた数 |
事業全体の売上や、チーム全体の目標を学生に持たせると、学生の行動では動かしようがなく、責任だけが重くなります。動かせる範囲の数字を、学生の担当として切り出すことが設計の要です。
原稿の書き方
マーケティング職の原稿では、持たせる数字と、そこまでの段階を書きます。
最初の1か月は、自社メディアの記事のアクセスの数字を毎週まとめ、担当社員と一緒に、どの記事がなぜ読まれたかを考えます。
慣れてきたら、担当する記事を数本持ち、タイトルや見出しを変えて、検索からの流入がどう変わるかを試します。
3か月目を目安に、新しい記事のテーマを提案し、自分で構成を作るところまで任せます。
このように書くと、学生は「数字を見る→考える→試す→提案する」という流れが、自分の仕事として想像できます。作業の部分(集計、資料作り)があっても、それが考えるための材料になっていることが伝わります。
声をかける相手
マーケティングの実務経験がある学生は多くありません。声をかける相手は、次のような経験で探します。
- 数字を見て何かを変えた経験:サークルの集客で告知の方法を変えた、アルバイト先で売れ筋を調べた
- 発信した経験:個人のSNSやブログで発信し、反応を見て工夫した
- 調べてまとめた経験:ゼミでアンケートを集計した、レポートでデータを分析した
- 学んでいる分野:マーケティング、統計、心理学、情報系など
特に、「自分で発信して、反応を見て、工夫した」経験は、マーケティングの仕事に近い経験です。フォロワーの多さではなく、反応を見て何を変えたかを見ます。
エージェントベストの見解
マーケティング職の長期インターンで、企業からよく聞く思い込みは、「マーケティングを学んでいる学生を採れば即戦力になる」というものです。授業で学んだ知識は、実務の言葉や枠組みを理解する助けにはなります。ただ、当社がInfraの運用を支援してきた中では、入ってから伸びる学生は、知識の多さより、数字を見て「なぜこうなったのか」を自分で考える習慣がある学生でした。知識はあっても、数字の変化を見て仮説を立てる経験がない学生は、集計の段階から先に進みにくいことがあります。面接では、「何を学んだか」より「数字を見て、何かを変えた経験」を聞くことを勧めます。その答えの中に、仮説を立てて試す力があるかが表れます。知識は入ってから教えられますが、考える習慣は入る前の経験に表れます。
面接で確かめること
マーケティング職の面接では、長期インターンの面接の進め方で書いた3点に加えて、次のことを確かめます。
- 数字への向き合い方:数字を見るのが好きか、苦手意識があるか
- 仮説を立てる力:面接の場で簡単な数字の変化を見せ、「なぜだと思うか」を聞く
- 発信の経験:自分で何かを発信した経験と、反応を見て変えたこと
仮説を立てる質問は、正解を求めるものではありません。たとえば、「ある投稿の反応が、前週より大きく増えた。理由として何が考えられるか」と聞き、いくつかの可能性を挙げられるか、確かめる方法を考えられるかを見ます。
数字を見る力を育てる順番
- 集計する:決まった形式で数字をまとめる。数字の意味を覚える
- 比べる:前週、前月と比べて、変化に気づく
- 理由を考える:変化の理由を、担当社員と一緒に考える
- 試す:理由の仮説をもとに、小さな変更を試す
- 提案する:試した結果から、次の打ち手を提案する
集計の段階は、作業に見えて大事な段階です。数字に触れる時間が長いほど、変化に気づく感覚が身につきます。ただ、集計の段階に長く留めすぎると、学生は作業ばかりと感じます。比べる・理由を考えるの段階に、早めに移ることを意識します。
エージェントベストの見解
学生に数字を持たせるとき、気をつけたいのは、数字が下がったときの扱いです。学生が試した変更で数字が下がることは、当然あります。そのときに責めると、学生は試すことをやめ、安全な作業だけを続けるようになります。当社が勧めているのは、数字が下がったときこそ、振り返りの時間を取ることです。何を変えて、どう下がったか、なぜだと思うか、次はどうするか。この振り返りを繰り返すことで、学生は仮説と検証の流れを身につけます。数字を持たせることの目的は、数字を上げさせることではなく、数字を見て考える習慣を育てることにある、と最初に担当社員と学生の間で共有しておくと、数字が下がっても試し続けられます。評価の考え方は長期インターン生の評価とフィードバックの返し方で書いています。
まとめ
- マーケティング志望の学生は、扱う手段と、考える仕事かどうか、数字に触れるかを見ている
- 学生の行動で動かせ、短い期間で変化が見え、会社の成果とつながる数字を担当として切り出す
- 原稿には「数字を見る→考える→試す→提案する」の流れを段階で書く
- 面接では知識より、数字を見て何かを変えた経験と、仮説を立てる力を見る
- 数字が下がったときは責めず、振り返りの材料にする
よくある質問
マーケティングの知識がない学生でも受け入れられますか
受け入れられます。用語や枠組みは、入ってから教えられます。むしろ、数字を見て考える習慣があるかどうかのほうが、入ってからの伸びに影響します。
学生に広告の予算を任せてもよいですか
予算を伴う判断は、担当社員の確認を経る形にするのが安全です。最初は、広告の文面や画像の変更など、予算を動かさない範囲で試してもらい、慣れてから予算の配分の提案を任せる段階に進みます。
SNS運用とマーケティングの求人は分けるべきですか
業務の中身が違う場合は分けるほうが、学生にとって分かりやすくなります。SNS運用に絞った考え方はSNS運用の長期インターンを採るで書いています。
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