金融業界の長期インターン採用|任せられる業務の線引き
金融業界は、長期インターンの受け入れに慎重な会社が多い業界です。顧客の資産や個人情報を扱い、業務の多くに規制や社内の決まりが関わるため、学生に何を任せてよいかの判断が難しいからです。一方で、金融に関心を持つ学生は多く、フィンテックの会社を中心に長期インターンの募集も増えています。結論から言うと、金融業界の長期インターンは「顧客の資産と個人情報に直接触れない業務」を先に洗い出し、そこから任せることで、規制の枠の中でも学生に意味のある仕事を渡せます。 線引きを曖昧にしたまま受け入れると、社内の確認が増えて学生に渡せる仕事がなくなります。この記事では、学生向けの長期インターン求人サイトInfraで募集する金融の会社に向けて、業務の線引きと運用設計を整理します。
金融業界の採用構造と、長期インターンの位置
金融業界の新卒採用は、大手を中心に採用の数が多く、選考の仕組みも整っている会社が多い業界です。長期インターンは、その中で次のような位置にあります。
- 大手の金融機関:新卒採用は短期のインターンや説明会が中心で、長期インターンは限られた部署で行うことが多い
- 中小の金融機関や地域の金融機関:学生に業界と会社を知ってもらう場として、長期インターンを活用する
- フィンテックの会社:IT企業に近い働き方で、開発やマーケティングの長期インターンを受け入れる
フィンテックの会社は、金融の規制の中で事業をしつつ、働き方はIT企業に近いという特徴があります。長期インターンの受け入れでも、規制の線引きとIT企業の柔軟さの両方を考える必要があります。
任せられる業務の線引き
金融の会社で学生に任せる業務を考えるときは、顧客の資産と個人情報との距離で分けます。
学生に任せやすい業務
- 公開情報を使った市場や業界の調べ物
- 社内向けの資料の作成
- マーケティングの記事やSNSの下書き(社員と法務の確認を経て公開)
- 社内のデータの集計(個人が特定できない形)
- フィンテックの会社なら、社内ツールの開発やテスト
社員と一緒に進める業務
- 顧客向けのセミナーの準備と運営の補助
- 商品の説明資料の下書き(表現の決まりに沿って社員が確認)
学生には任せない業務
- 顧客の口座や取引の情報に触れる業務
- 顧客への商品の勧誘や説明
- 資格が必要な業務
- 未公開の重要な情報に触れる業務
三つ目のグループは、規制や社内の決まりで制限されていることが多い業務です。具体的な線は会社の業態によって違うため、社内のコンプライアンスの担当部署と相談して決めます。
エージェントベストの見解
金融の会社が長期インターンを始めるときに、当社が先に勧めるのは、受け入れの前にコンプライアンスの担当部署を巻き込んでおくことです。募集を出して学生が決まってから相談を始めると、担当部署の確認に時間がかかり、学生が入ってから数週間、何も任せられない状態になりがちです。順番としては、まず人事と受け入れる部署で「学生に任せたい業務」の一覧を作り、それをコンプライアンスの担当部署に見てもらって、可否と条件を書き込んでもらう。この一覧が承認されてから募集を出せば、学生が入った初日から仕事を渡せます。一覧はそのまま原稿の仕事内容の下書きにもなります。金融の会社の長期インターンは、募集の前の社内の準備が、受け入れの質のほとんどを決めると言ってもよいくらいです。
受け入れの手続きの準備
金融の会社は、社員の入社の手続きに厳格な決まりを設けていることが多く、長期インターンの学生にも同様の手続きが必要になることがあります。
- 秘密保持の誓約:扱う情報の範囲と、インターン終了後の扱い
- 情報システムの利用の決まり:アカウント、端末、外部への持ち出し
- インサイダー取引の防止に関わる決まり:未公開の情報に触れる可能性がある場合
- 学生自身の投資や取引の扱い:会社によっては、社員の取引に決まりがある
四つ目は、金融の会社ならではの点です。学生が個人で投資をしている場合、インターン中の取引にどんな決まりがあるかを、社内の決まりに沿って伝えておきます。
これらの手続きは、受け入れまでに時間がかかることがあります。選考の段階で学生に手続きの流れを伝えておくと、受け入れまでの時間を学生も理解できます。雇用契約を結んで受け入れるなら、最低賃金や労働時間の規定を守ることも、これらの手続きと並ぶ前提の一つです。
堅いイメージとの付き合い方
金融業界に対して、学生は次のようなイメージを持っていることがあります。
- 堅く、決まりが多い
- 安定している
- 数字や専門知識が必要
一つ目のイメージは、長期インターンでは事実の面もあります。決まりが多いことを隠すより、なぜ決まりがあるのかを伝えるほうが、学生の理解を得やすくなります。顧客の資産を守るための決まりだと分かれば、学生も決まりの意味を受け止めやすくなります。
三つ目のイメージは、文系の学生の応募をためらわせることがあります。長期インターンで任せる業務に専門知識が必要ないなら、原稿にそう書いておきます。金融の知識は入ってから学べることを伝えると、関心はあっても知識に自信のない学生が応募しやすくなります。
フィンテックの会社は、金融の堅いイメージとIT企業の柔軟なイメージの両方で見られます。原稿では、規制の中で事業をしていることと、働き方は柔軟であることの両方を書くと、学生は実際の姿を想像しやすくなります。
エージェントベストの見解
フィンテックの会社の長期インターンについて、当社が見てきたことがあります。フィンテックの会社は、エンジニアやマーケティングの長期インターンを受け入れやすい一方、学生が金融の規制の重さを知らないまま入ってくることが多いという点です。当社は長期インターンの媒体と、中途の求人サイトの運用代行、人材紹介を扱っていますが、中途採用でもIT企業からフィンテックに移る人が、規制への対応の重さに戸惑う場面があります。学生ならなおさらです。そこで、フィンテックの会社の長期インターンでは、受け入れの最初の週に「なぜこの事業に規制があるのか」を説明する時間を取ることを勧めます。規制を開発やマーケティングの足かせとしてではなく、顧客を守る仕組みとして理解した学生は、決まりの中で工夫する力を身につけます。それは、新卒で入社したときにも生きる力です。
まとめ
- 金融業界の長期インターンは、顧客の資産と個人情報に直接触れない業務から任せる
- 任せたい業務の一覧を作り、募集の前にコンプライアンスの担当部署の確認を受ける
- 秘密保持や情報システムの決まり、学生自身の取引の扱いを受け入れ前に伝える
- 堅いイメージには、決まりの理由を伝えることで応える
- フィンテックの会社では、最初の週に規制の意味を説明する時間を取る
よくある質問
長期インターンの学生に、顧客への電話を任せてもよいですか
商品の勧誘や説明を伴う電話は、資格や規制が関わることが多いため、学生には任せないのが基本です。セミナーの案内の電話など、勧誘を伴わない連絡であれば任せられる場合もありますが、社内のコンプライアンスの担当部署に確認してから判断してください。
金融の知識がない学生でも受け入れられますか
任せる業務によっては、金融の知識がなくても始められます。社内向けの資料の作成やマーケティングの下書きなどは、入ってから知識を学びながら進められる仕事です。原稿に「金融の知識は問いません」と書き、入ってから学ぶ内容を示しておくとよいでしょう。
受け入れの手続きに時間がかかる場合、学生にどう伝えればよいですか
選考の段階で、受け入れまでの手続きの流れと、おおよその期間を伝えておきます。手続きの途中で学生への連絡が途切れると、学生は不安になって他の会社を選ぶことがあります。手続きの進み具合を定期的に連絡するだけでも、学生の安心につながります。応募後の連絡の考え方はInfraで応募が来た後の初回連絡も参考になります。
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