リモートの長期インターンの設計|任せ方と連絡の頻度
リモートで働ける長期インターンは、学生にとって通う時間がかからず、地方の大学に通う学生や授業の合間に働きたい学生にも門が開かれます。企業にとっても、住んでいる場所を問わず募集できるのは利点です。一方で、リモートの長期インターンは、出社のときには自然に起きていた「隣で見て覚える」「困ったらすぐ聞く」が起きません。結論から言うと、リモートの長期インターンは、任せる業務を成果物で区切り、連絡の頻度を先に決めておくことで回ります。 この記事では、業務の分け方、出社をどう組み合わせるか、連絡の頻度、進み具合の見方を整理します。
リモートに向く業務、向かない業務
すべての業務がリモートに向くわけではありません。分け方の目安は、「一人で進めて、成果物で確認できるか」です。
| 向く業務 | 理由 |
|---|---|
| 記事の執筆・編集 | 原稿という成果物で確認できる |
| SNSの投稿作成 | 投稿案を共有し、確認してから出せる |
| データの集計・分析 | 集計結果と所見を共有すれば進み具合が分かる |
| リストの作成・調査 | 成果物の量と質で確認できる |
| 開発の一部 | 作業の単位を区切れば、成果を確認しやすい |
| 向きにくい業務 | 理由 |
|---|---|
| 商談への同席 | 場の空気や、終わった後の振り返りが大事 |
| 社内の多くの人と調整する仕事 | 誰に何を聞けばよいか、リモートでは見えにくい |
| 機密性の高い情報を扱う仕事 | 情報の取り扱いの管理が難しい |
向きにくい業務も、工夫すればリモートでできることがあります。ただ、最初の受け入れでは、向く業務から始めるほうが、学生も会社も慣れやすくなります。
最初の期間だけ出社を入れるか
完全リモートで受け入れる会社もあれば、最初の期間だけ出社してもらう会社もあります。どちらがよいかは、学生の住んでいる場所と、任せる業務によります。
- 最初だけ出社できる場合:初日から数日は出社し、担当社員と顔を合わせ、業務の流れを隣で見てもらう。その後リモートに移る
- 完全リモートの場合:初日はビデオ通話をつないだまま、画面を共有しながら一緒に作業する時間を長めに取る
出社できるなら、最初に顔を合わせることには価値があります。相手の顔と声を知っていると、リモートになってからも質問しやすくなるからです。完全リモートの場合は、最初の1〜2週間に、つないだままの時間を多めに確保すると、隣で見て覚える代わりになります。初日の組み方は長期インターン初日の受け入れで詳しく書いています。
連絡の頻度を先に決める
リモートの長期インターンで最も多い困りごとは、「学生が何をしているか分からない」と「学生が困っていても言い出せない」の2つです。どちらも、連絡の頻度を決めておくことで防げます。
毎日の連絡
- 始業の連絡:その日にやることを短く書く(チャットで数行)
- 終業の連絡:やったこと、詰まったこと、明日やることを書く
始業と終業の連絡は、管理のためではなく、学生が自分の作業を区切る助けになります。終業の連絡に「詰まったこと」の欄を入れておくと、言い出しにくい困りごとが自然に出てきます。
週の振り返り
- 週に1回、担当社員と短い通話:その週の成果物を見ながら、よかった点と次の課題を話す
- 翌週の業務を一緒に決める:何を、いつまでに、どの程度の質で
質問のルール
- 質問してよい時間帯と場所を決める:チャットのどのチャンネルで、いつなら返事が早いか
- 詰まったら何分で聞くかを決める:一人で悩み続ける時間を区切る
「いつでも聞いてね」と言われても、リモートの学生は相手の忙しさが見えず、遠慮します。聞いてよい時間と場所を具体的に決めるほうが、質問は増えます。
エージェントベストの見解
リモートの長期インターンが立ち上がらない会社に共通するのは、出社のときと同じ任せ方をそのままリモートに持ち込んでいることです。出社なら、担当社員が隣で様子を見て、手が止まっていれば声をかけられます。リモートでは、その様子が見えません。結果として、学生は手が止まったまま一日を終え、終業の時間に「特に進みませんでした」と報告することになります。当社がInfraの運用を支援する中で勧めているのは、受け入れを始める前に、最初の1か月の業務を「1日で終わる大きさ」に区切っておくことです。1日で終わる大きさなら、終業の連絡で成果物を確認でき、詰まっていれば翌日の朝に手当てできます。業務の大きさを先に区切ることが、リモートの受け入れでいちばん効く準備です。
成果物で進み具合を見る
リモートでは、働いている時間ではなく、成果物で進み具合を見ます。そのために、業務ごとに「何が出てくれば完了か」を決めておきます。
- 記事執筆:構成案の提出、初稿の提出、修正稿の提出、と段階ごとに区切る
- データ分析:集計表の提出、所見のメモの提出
- SNS運用:投稿案の提出、確認後の投稿、反応のまとめ
- リスト作成:一定の件数ごとに提出し、質を確認する
段階ごとに提出してもらうと、方向がずれていた場合に早く気づけます。完成してから見ると、やり直しの負担が学生にも社員にも大きくなります。
勤務時間の記録も、リモートだからといって曖昧にしないことが大切です。始業と終業の時刻を記録し、労働時間の規定を守ったうえで、賃金を支払います。
求人での伝え方
リモートの長期インターンを求人に書くときは、次の点を明記します。
- リモートの割合:完全リモートか、出社の日があるか。最初だけ出社か
- 必要な環境:パソコンの貸与の有無、通信環境、作業場所の条件
- 連絡の仕方:毎日の連絡、週の振り返りがあること
- 一緒に働く人:担当社員がいて、定期的に話す機会があること
「リモート可」とだけ書くと、学生は放っておかれるのではと不安になります。連絡の仕組みがあることを書くと、リモートでも支えがあることが伝わります。
エージェントベストの見解
リモートの長期インターンを始めるとき、社内で決めておくべきなのは連絡の頻度と業務の区切りまでで、そこから先の細かな管理は増やしすぎないほうがよいと考えています。画面の監視や、細かな作業時間の報告を求めると、学生は信頼されていないと感じ、自分で考えて進める意欲が下がります。当社は人材紹介でリモート勤務の中途採用にも関わっていますが、社会人でも管理の細かさが離職の理由になることがあります。学生ならなおさらです。始業と終業の連絡、週1回の振り返り、段階ごとの成果物。この3つがそろっていれば、進み具合は十分に分かります。足りないと感じたら、管理を増やす前に、業務の区切り方が大きすぎないかを見直すほうが先です。
まとめ
- リモートに向くのは「一人で進めて、成果物で確認できる」業務。最初はそこから始める
- 出社できるなら最初だけ顔を合わせ、完全リモートなら最初はつないだままの時間を長めに
- 始業と終業の連絡、週1回の振り返り、質問の時間と場所を先に決める
- 業務を1日で終わる大きさに区切り、段階ごとの成果物で進み具合を見る
- 管理を細かくしすぎず、足りなければ業務の区切り方を見直す
よくある質問
パソコンは会社から貸与すべきですか
情報の取り扱いを考えると、貸与するほうが管理しやすくなります。学生の私物のパソコンを使う場合は、扱ってよい情報の範囲と、保存の仕方のルールを決めておくことが必要です。
リモートだと、インターン生どうしの交流がなくなりませんか
インターン生が複数いる場合は、週に一度、インターン生どうしで話す時間を設ける会社もあります。業務の悩みを社員に聞くより先に、同じ立場の学生に相談できる場があると、続けやすくなることがあります。
地方の学生をリモートで受け入れる際の注意点はありますか
通う必要がない分、出社の機会がほとんどなくなります。顔を合わせる機会がない前提で、最初の期間の通話の時間を長めに取り、担当社員との関係を作ることを優先してください。勤務の時間帯が授業の時間割と合うかも、面接で確認しておくと安心です。
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