長期インターンの給与の書き方|時給と昇給の伝え方
長期インターンの求人で、給与の欄はほとんどの学生が目を通す部分です。それにもかかわらず、「時給◯円〜(経験・能力による)」の一行だけで終わっている求人がよく見られます。結論から言うと、給与の欄では「最初の時給」「上がる仕組み」「時給以外に支払うもの」の3つを分けて書くと、学生は続けた先まで想像できます。 この記事では、Infraなどに長期インターンの求人を出す会社に向けて、給与の書き方と、書く前に社内で決めておくことを整理します。賃金や労働時間の扱いは法令の規定を守ることが前提です。判断に迷う点は、社会保険労務士などの専門家に確認してください。
長期インターンは雇用として扱うのが一般的
給与の書き方の前に、前提を確認しておきます。長期インターンで、企業の指示のもとで業務を行い、その対価を支払う場合は、雇用契約を結ぶのが一般的です。その場合、最低賃金や労働時間、割増賃金などの規定が適用されます。
- 最低賃金を下回らない:地域ごとに定められた額を下回らないようにする
- 労働時間の規定を守る:1日・1週の上限、休憩、深夜や休日の扱い
- 雇用条件を書面で示す:時給、勤務時間、勤務場所、契約期間などを明示する
業務委託の形で受け入れる会社もありますが、実態として指示を受けて働いている場合は雇用と判断されることがあります。契約の形に迷う場合は、専門家に確認してから求人を出すのが安全です。
学生が給与の欄で読み取りたいこと
学生が給与の欄で確かめていることは、主に次の4つです。
- 最初にいくら受け取れるか:生活費やほかのアルバイトとの比較
- 続けると上がるのか:どんな条件で、どのくらいの間隔で見直されるか
- 時給以外に何が出るか:交通費、成果に応じた手当、リモート勤務の手当など
- 研修中も同じ時給か:最初の期間だけ違う扱いがあるか
「経験・能力による」とだけ書くと、2と4が分からず、学生は最低額で働くことを前提に比べます。上がる仕組みがあるのに書いていないのは、伝えられる魅力を捨てていることになります。
時給の書き方
時給は、最初の額を明確に書きます。幅を持たせる場合は、何によって額が決まるのかを添えます。
- 悪い例:「時給◯円〜(経験・能力による)」
- よい例:「時給◯円からスタート。プログラミングの実務経験がある方は、面接で経験を伺ったうえで開始時の時給を決めます」
幅を持たせるときは、上限ではなく「どんな人がどの額から始めるか」を書くと、学生は自分がどこに当てはまるかを判断できます。上限だけを大きく書くと、ほとんどの学生がそこに届かないとき、期待とのずれが生じます。
昇給の伝え方
昇給は、長期インターンを続けてもらう理由の一つになります。伝えるときは、次の3点をそろえます。
- 何で見直すか:勤務期間、任せる業務の段階、評価面談の結果など
- いつ見直すか:3か月ごと、半年ごと、評価面談のたびに、など
- これまでの例:「入って半年で、商談の日程調整を一人で任されるようになり、時給が上がった例があります」のように、実際の流れを一例として書く
金額の上がり幅を書く場合は、実際に運用している範囲に限ります。書いた内容は学生との約束として読まれるので、運用していない仕組みは書かないことです。評価と時給をどう結びつけるかは長期インターン生の評価とフィードバックの返し方でも触れています。
エージェントベストの見解
給与について企業から受ける相談で多いのは、「時給を上げないと応募が来ないのでは」という心配です。当社がInfraの原稿を見直してきた経験では、時給の額そのものより、昇給の仕組みが書かれていないことのほうが応募に響いている例が多くあります。最初の時給が周りと同じくらいでも、「業務の段階が上がれば時給も見直す」と具体的に書いてある求人は、続けた先を想像させます。反対に、最初の時給を高めに設定しても、上がる仕組みがなければ、学生は最初の額だけで他社と比べます。順番としては、まず社内で昇給の基準と時期を決め、それを書いてから、最初の額を検討するのがよいと考えています。昇給の基準を決めることは、インターン生を評価する仕組みを作ることでもあるので、受け入れ体制の整備にもつながります。
時給以外に支払うものの書き方
- 交通費:支給の有無、上限、リモート勤務の日の扱いを書く
- 成果に応じた手当:インサイドセールスの商談数、記事の本数など、成果に応じた手当を出す場合は、基準と、それが時給とは別に支払われることを明記する
- 研修期間:研修中の時給が異なる場合は、その期間と額を書く。研修中も最低賃金を下回らないことが前提
- リモート勤務の手当:通信費などを支給するなら、その条件を書く
成果に応じた手当は、学生にとって魅力に見える一方で、時給を低くして手当で補う形にすると、成果が出ない期間に不満が生まれやすくなります。時給だけで最低限の生活の見通しが立ち、手当は上乗せ、という位置づけにすると誤解が減ります。
書く前に社内で決めておくこと
- 開始時の時給と、その額を決める基準
- 昇給を見直す基準と時期
- 研修期間の有無と、その間の扱い
- 交通費の支給方法と上限
- 成果に応じた手当を出すか、出すなら基準
- 勤務時間の記録方法と、支払いの締め日
決めた内容は、原稿に書くだけでなく、雇用契約の書面と面接での説明にも同じ言葉で入れます。原稿、書面、面接の説明で言い回しが少しずつ違うと、学生はどれが正しいのか迷い、入った後に「聞いていた話と違う」と感じる原因になります。
これらは、原稿を書く人ではなく、労務や経理の担当と一緒に決める内容です。人事が原稿を書きながら決めていくと、実際の支払いと原稿の内容がずれることがあります。
エージェントベストの見解
給与の書き方で気をつけたいのは、中途採用の求人票の書き方をそのまま持ち込まないことです。当社は人材紹介で中途の求人票も扱っていますが、中途では年収の幅を広く書き、面接で経験を見て決めるのが一般的です。社会人の候補者は、自分の経験がどこに当てはまるかをおおよそ判断できます。一方、長期インターンに応募する学生は、自分の経験がどの額に当てはまるのかを判断する材料を持っていません。幅を広く書くほど、学生は「自分は一番下だろう」と受け取ります。長期インターンの給与欄は、幅で見せるより、始まりの額と上がる道筋を一本の線として見せるほうが、学生にとっての分かりやすさが上がります。
まとめ
- 長期インターンは雇用として扱うのが一般的。最低賃金や労働時間の規定を守る
- 給与の欄は「最初の時給」「上がる仕組み」「時給以外に支払うもの」の3つに分けて書く
- 幅を持たせるなら、上限ではなく「どんな人がどの額から始めるか」を書く
- 昇給は「何で・いつ見直すか」と実際の例をそろえる。運用していない仕組みは書かない
- 成果に応じた手当は上乗せとして位置づけ、時給で生活の見通しが立つようにする
よくある質問
時給は周りの求人と比べて決めるべきですか
周りの水準を知っておくことは参考になります。ただ、時給だけで競うと、より高い求人が出たときに学生が移りやすくなります。昇給の仕組みや任せる業務の具体さと合わせて、自社として続けられる額を決めることを勧めます。
無給のインターンは募集できますか
業務の実態があり、企業の指示のもとで働く場合は、雇用として賃金を支払う必要があると考えられます。見学や短期の体験とは扱いが異なります。判断に迷う場合は、社会保険労務士などの専門家に確認してください。
昇給の基準を原稿にどこまで書けばよいですか
細かい評価項目まで書く必要はありません。「何で見直すか」「いつ見直すか」が分かり、実際に上がった流れの例が一つあれば、学生は続けた先を想像できます。詳しい基準は、面接や入った後の面談で説明すれば足ります。
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