長期インターンを続けてもらうために|辞める理由から逆算する
長期インターン生が数か月で辞めてしまい、また募集からやり直す。この繰り返しに悩む会社は多くあります。続けてもらう工夫というと、待遇を上げる、イベントを開くといった打ち手が思い浮かびますが、それが辞める理由に当たっていなければ効果は薄くなります。結論から言うと、続けてもらうための打ち手は、辞める理由を「時間」「業務」「人」「目的」の4つに分け、それぞれを入る前と入った後のどこで防げるかを逆算して決めると、手を打つ場所が絞れます。 この記事では、辞める理由の分け方、防ぎ方、兆しの見つけ方、休止の扱いを整理します。
辞める理由を4つに分ける
長期インターン生が辞める理由は、おおむね次の4つに分けられます。
| 分類 | 辞める理由の例 |
|---|---|
| 時間 | 授業や試験と両立できない、就職活動が始まった、研究室が忙しくなった、留学する |
| 業務 | 任される仕事が単調、仕事が増えない、逆に重すぎる、何のためにやっているか分からない |
| 人 | 担当社員と合わない、相談できる人がいない、職場で孤立している |
| 目的 | 始めたときの目的が果たせた、目的が変わった、ここでは目的に届かないと感じた |
辞めた学生に理由を聞くと、「学業との両立が難しくなって」という答えが多くなります。ただ、それが本当の理由とは限りません。業務や人に不満があっても、学生は角を立てない理由として時間を挙げることがあります。辞める理由を見るときは、表向きの理由の奥に、業務や人の問題がないかを考えます。
入る前に防げること
4つの理由のうち、いくつかは入る前、つまり募集と面接の段階で防げます。
- 時間:求人に勤務日数の下限と例外を書く。面接で、半年後・1年後の予定(就職活動、留学、研究室配属)を聞く
- 業務:求人に任せる業務を具体的に書き、面接で正直に説明する。気が進まない業務がないかを聞く
- 目的:面接で、半年後にどうなっていたいかを聞き、任せる業務と重なるかを確かめる
面接で見るべきことは長期インターンの面接の進め方、勤務日数の決め方は長期インターンの勤務日数とシフトの決め方で書いています。入る前のずれは、入った後にどれだけ手を打っても埋めにくいので、ここが最初の防ぎどころです。
入った後に防げること
入った後に防げるのは、主に業務と人の理由です。
業務の理由を防ぐ
- 任せる範囲を段階的に広げる:同じ業務がずっと続くと単調に感じる。段階が上がるごとに、判断する部分を増やす
- 業務の意味を伝える:その業務の結果が、誰の何に使われているかを見せる
- 重すぎないか確かめる:意欲のある学生ほど抱え込む。週の振り返りで量を確かめる
人の理由を防ぐ
- 担当社員を決め、時間を確保する:相談の窓口が一人に決まっているだけで、孤立は減る
- ほかのインターン生とつながる場を作る:同じ立場の学生と話せる場があると、悩みを共有できる
- 人事にも相談できる道を作る:担当社員との関係に悩んだときの逃げ道
時間の理由を和らげる
時間の理由は入った後に防ぎきれませんが、和らげることはできます。試験期間に日数を減らせる、就職活動の時期に一時的に休める、といった柔軟さがあれば、辞めずに続ける選択肢が生まれます。
エージェントベストの見解
続けてもらう工夫を考えるとき、先に手を付けるべきなのは、待遇やイベントではなく、辞めた学生の理由を4つに分けて数えることです。当社がInfraの運用を支援する会社に、過去に辞めた学生の理由を振り返ってもらうと、会社が思っていた理由とは違う分類に偏っていることがよくあります。時給が理由だと思っていたら、実は業務が単調だった。両立の問題だと思っていたら、担当社員が忙しく、相談できる人がいなかった。分類が分かれば、打ち手は絞れます。業務に偏っていれば任せる範囲の広げ方を、人に偏っていれば担当社員の時間の確保を見直します。順番として、打ち手を選ぶ前に理由を数える。数件分でも、偏りは見えてきます。
辞める兆しを見つける
辞める学生の多くは、辞めると言い出す前に兆しを見せています。次のような変化に気づいたら、1on1で話を聞きます。
- シフトの日数が減ってきた:申告される日数が少しずつ減っている
- 遅刻や当日の欠勤が増えた:生活のリズムや気持ちに変化がある
- 質問や報告が減った:業務への関心が薄れている、または相談しにくくなっている
- 振り返りでの発言が短くなった:以前より話さなくなった
- ほかのインターン生との会話が減った:職場での居場所を感じにくくなっている
兆しに気づいたら、責めるのではなく、「最近どう?」より具体的に「来月の予定で変わりそうなことはある?」「今の業務で、一番負担に感じているのはどれ?」と聞きます。1on1の聞き方は長期インターン生との1on1で書いています。
一時的な休止の扱い
辞めるか続けるかの二択しかないと、忙しい時期に学生は辞める方を選びます。一時的に休んで戻れる「休止」の扱いを用意しておくと、関係を切らずに済みます。
- 休止できる期間:数週間から数か月など、会社として受け入れられる範囲
- 休止中の連絡:月に一度程度、近況を聞く連絡をするかどうか
- 戻るときの段取り:戻る前に面談を設け、業務の状況を共有する
- 契約の扱い:雇用契約をどう扱うか。判断に迷う場合は専門家に確認する
休止を認めると業務が回らなくなるのでは、という心配もありますが、辞めて新しく募集するより、休止から戻ってもらうほうが、教える手間は少なく済みます。
エージェントベストの見解
続けてもらうことを考えるとき、引き止めない方がよい場面もある、と当社は考えています。辞める理由が「目的が果たせた」「目的が変わった」場合です。たとえば、営業の経験を積みたくて始めた学生が、数か月で一人で商談を取れるようになり、次は別の職種を試したいと考えている。この学生を引き止めても、本人の意欲は戻りません。むしろ、気持ちよく送り出し、後輩に業務を引き継いでもらう方が、会社にも学生にも得るものがあります。送り出した学生が、友人や後輩に「あの会社はよかった」と話してくれることもあります。続けてもらうことは目的ではなく、学生がここにいる意味がある間、気持ちよく働いてもらうこと。この考え方で、引き止めるべき理由と送り出すべき理由を分けると、無理な引き止めで関係をこじらせずに済みます。送り出し方は長期インターン生の卒業と引き継ぎで書いています。
まとめ
- 辞める理由を「時間」「業務」「人」「目的」の4つに分け、表向きの理由の奥を見る
- 時間・業務・目的のずれは、求人と面接の段階で防ぐのが最初の防ぎどころ
- 入った後は、任せる範囲の広げ方、担当社員の時間、相談の逃げ道で業務と人の理由を防ぐ
- シフトの減少や質問の減少など、辞める兆しに気づいたら具体的な問いで話を聞く
- 休止の扱いを用意し、目的を果たした学生は引き止めずに送り出す
よくある質問
時給を上げれば続けてもらえますか
辞める理由が時給にある場合は効果があります。ただ、理由が業務や人にある場合、時給を上げても続ける意欲は戻りにくい傾向があります。まずは辞めた学生の理由を分類し、時給が理由になっているかを確かめてから判断することを勧めます。
辞めた学生に理由を聞いても、本当のことを言ってくれません
辞める直前に本音を聞くのは難しいものです。担当社員ではなく人事が聞く、辞めた後に短いアンケートで聞く、といった方法で、話しやすい形を作ります。日ごろの1on1で兆しをつかんでおくほうが、辞める直前に聞くより確かです。
続けてもらうために、イベントや懇親会は効果がありますか
インターン生どうしや社員とのつながりを作る場として、効果がある場合があります。ただ、辞める理由が業務や時間にある場合、イベントだけでは解決しません。辞める理由の分類で「人」が多い場合に、打ち手の一つとして検討するのがよいでしょう。
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