長期インターン生の卒業と引き継ぎ|仕事を属人化させない
長期インターン生は学生である以上、就職活動や大学の卒業、留学などで離れる日がいずれ来ます。長く続けてくれた学生ほど、任されている業務は多く、その学生にしか分からないことが増えています。抜けた途端に業務が止まる、という事態は珍しくありません。結論から言うと、引き継ぎは卒業が決まってから始めるのではなく、入ったときから「いずれ誰かに渡す」前提で業務を記録し、卒業の時期を早めに把握して、後任と重なる期間を作ることで、属人化を防げます。 この記事では、その段取りを整理します。
属人化はなぜ起きるのか
長期インターンの業務が属人化する理由は、主に次の3つです。
- 任せた後に誰も見ていない:任せる段階に進んだ業務は、担当社員が細部を見なくなる。学生が自分なりに工夫した手順が、学生の頭の中にだけある
- 記録の習慣がない:手順書を作る時間がないまま、業務が回っている
- 卒業の時期が直前まで分からない:学生も先の予定を言い出しにくく、会社も聞いていない
3つ目は会社と学生のどちらか一方の問題ではなく、予定を話す場がないことの問題です。任せることは、続けてもらううえで大事です。ただ、任せた業務が記録されていないと、卒業の日がそのまま業務の止まる日になります。
卒業の時期を早めに把握する
引き継ぎの準備は、卒業の時期が分かっていないと始められません。学生の予定は、次の機会に確かめます。
- 面接のとき:いつ頃まで続けられそうか。就職活動や留学の予定
- 1on1のとき:数か月先の予定で変わりそうなこと
- 学年が上がるとき:研究室の配属、就職活動の始まりなど、予定が変わりやすい節目
聞くときは、「いつ辞めるの?」ではなく、「来年の春以降の予定で、決まっていることはある?」と、学生が予定を話しやすい聞き方にします。卒業の時期を話すことが、辞める話のように受け取られないよう、最初から「いずれ卒業するのは当然で、その時期を一緒に計画したい」と伝えておくと、学生も早めに話してくれます。
引き継ぎの段取り
卒業の時期が分かったら、次の順で引き継ぎを進めます。
- 業務を棚卸しする:学生が持っている業務をすべて書き出す。定期の業務、頼まれごと、学生が自分から始めた工夫も含める
- 業務ごとに渡し先を決める:後任のインターン生か、社員か、やめる業務か
- 手順書を整える:業務ごとに、手順、判断の基準、よくある失敗、関係者を書く
- 後任と重なる期間を作る:後任が「見る」「一緒にやる」段階を、卒業する学生のもとで経験する
- 最後の週は見てもらう段階に:後任が一人でやり、卒業する学生が確認する
3の手順書は、卒業する学生に一から書いてもらうと負担が大きくなります。入ったときから手順書を少しずつ書き足していれば、ここでは整えるだけで済みます。手順書を学生と一緒に作る方法は長期インターンのオンボーディングで書きました。
エージェントベストの見解
引き継ぎで最も見落とされやすいのは、後任の募集を始める時期です。卒業が決まってから募集を始めると、応募、面接、受け入れの準備までの間に、卒業の日が来てしまいます。後任が入る前に前任が抜け、重なる期間が作れず、手順書だけが残される。こうなると、後任は手順書を読んでも分からない部分を誰にも聞けません。順番としては、卒業の時期が分かった時点で、そこから逆算して募集を始める日を決めることです。当社がInfraの運用を支援する会社には、学生ごとに「卒業の見込み時期」と「後任の募集開始の目安」を並べた表を作ってもらうことを勧めています。表があると、複数の学生の卒業が重なる時期も見えるので、募集を前倒しする判断がしやすくなります。
後任と重なる期間の過ごし方
重なる期間は、後任にとって最も多くを学べる時間です。次のように過ごします。
- 前任がやっているのを見せる:手順書に書かれていない、ちょっとした判断や工夫を見せる
- 関係者に紹介する:業務でやり取りする社員や、外部の取引先がいれば、後任を紹介する
- 後任に説明してもらう:前任から教わったことを、後任が自分の言葉で説明する。理解の抜けが分かる
- 手順書を後任が書き直す:後任の目線で分かりにくいところを書き直してもらう
重なる期間の長さは、後任が「見てもらう」段階に入るまでを目安にします。卒業する学生の勤務日が少ない場合は、重なる期間の勤務日を少し増やせないか相談します。卒業前の学生は試験や卒業論文で忙しいことが多いので、勤務を増やすことが負担にならないかを確かめたうえで、無理のない範囲で調整します。
重なる期間がどうしても取れない場合は、卒業する学生に、業務をしている様子を画面録画や音声で残してもらう方法もあります。ただし、録画に顧客の情報などが映り込まないよう注意します。
卒業後の関係を保つ
卒業する学生は、会社にとって大切なつながりです。卒業後の関係を保つと、次のような形で返ってくることがあります。
- 後輩の紹介:大学の後輩やサークルの仲間に、インターン先として紹介してくれる
- 新卒での応募:就職活動で、自社を選択肢に入れてくれる
- 卒業後の相談相手:後任が困ったときに、短く相談に乗ってくれる
卒業のときは、最後の1on1で、担当した業務で成長したこと、会社として感謝していることを伝えます。卒業後に連絡を取ってよいかを聞いておき、同意があれば、年に一度程度、近況を聞く連絡をするのもよいでしょう。卒業後に後任の相談に乗ってもらう場合は、その扱い(業務として依頼するかどうか)を事前に決めておきます。
エージェントベストの見解
長期インターン生の卒業は、新卒採用との接点として見ることもできます。当社はOfferBoxやワンキャリアといった新卒向けの媒体も扱っていますが、新卒採用で会社を知らない学生に一から説明するのと比べて、長期インターンで働いた学生は、会社の仕事や人をすでに知っています。卒業する学生の中に、自社に新卒で入ってほしい人がいれば、卒業の前に、新卒採用の選考について話しておくことができます。ただし、長期インターンを新卒採用の選考と結びつけすぎると、インターン生が評価を気にして働くようになり、本来の業務の意味が薄れます。新卒の話は、卒業の時期が近づいてから、本人の意向を聞くところから始めるのが、関係をこじらせない進め方だと考えています。
まとめ
- 属人化は「任せた後に見ていない」「記録がない」「卒業時期が分からない」から起きる
- 面接、1on1、学年の節目で、卒業の時期を早めに把握する
- 業務の棚卸し→渡し先の決定→手順書の整備→重なる期間→見てもらう段階、の順で引き継ぐ
- 卒業の時期から逆算して、後任の募集を始める日を決める
- 卒業後の関係を保ち、後輩の紹介や新卒での応募につなげる
よくある質問
引き継ぎにはどのくらいの期間が必要ですか
業務の量と難しさ、後任の勤務日数によって変わります。後任が「見る」「一緒にやる」段階を前任のもとで経験できる期間を確保するのが目安です。期間が取れない場合は、手順書と録画で補い、卒業後に短く相談できる形を検討します。
後任が見つからないまま卒業の日が来た場合はどうすればよいですか
一時的に社員が業務を引き取るか、業務を減らすか、やめるかを決めます。社員が引き取る場合でも、手順書と重なる期間があれば負担は小さくなります。この経験を踏まえ、次からは卒業の時期から逆算して募集を始めます。
卒業する学生に、後任の面接に入ってもらってもよいですか
業務の様子を伝える役として、面接の一部に入ってもらう会社もあります。応募した学生にとっては、実際に働いている学生の話は参考になります。ただし、合否の判断は社員が行い、卒業する学生に判断の責任を負わせないようにします。
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