長期インターンが新卒採用につながらないとき
「長期インターン生はよく働いてくれるのに、誰も新卒の本選考に来てくれない」。長期インターンを数年続けている会社から、こうした相談を受けることがあります。長期インターンが新卒採用につながらない会社の多くは、インターン生に「この会社で正社員として働く姿」を一度も見せていません。 業務の戦力として扱うことと、採用の候補者として向き合うことは、同じ受け入れの中で別々に設計する必要があります。この記事では、学生向けの長期インターン求人サイトInfraなどで受け入れた学生を、新卒採用につなげるために見直す点を順に整理します。
症状の確認|「つながらない」には3つの段階がある
一口に「つながらない」と言っても、どこで止まっているかで打ち手が変わります。
- 本選考の存在を知らない:インターン生が、自社が新卒採用をしていることや、その時期を知らない
- 知っているが応募しない:本選考があることは知っているが、自分の進路の候補に入れていない
- 応募するが辞退する:本選考には進むが、内定の前後で他社に決める
1番目は意外なほど多くあります。現場はインターン生を業務の担い手として見ていて、人事は新卒採用を媒体やイベントで進めている。両者の情報がつながっていないと、インターン生は自社の本選考を知らないまま卒業時期を迎えます。
原因の切り分け|位置づけ→伝え方→案内の順に見る
原因は、次の順に確かめていきます。
- インターンの位置づけ:会社として、長期インターンを新卒採用の入口と考えているか。考えているなら、それが現場と人事の間で共有されているか
- 受け入れ中の伝え方:インターン生に、正社員の仕事やキャリアの道筋を見せる機会があるか。インターンの仕事と正社員の仕事の違いを説明しているか
- 本選考への案内:本選考の時期、流れ、インターン経験がどう扱われるかを、誰がいつ伝えているか
1番目が決まっていないと、2番目と3番目は誰の仕事にもなりません。まず、長期インターンを採用の入口として使うのかどうかを会社として決めます。使わないと決めるのも一つの判断で、その場合は業務の担い手として受け入れる設計に絞れば十分です。
打ち手1|正社員の仕事を見せる機会をつくる
インターン生が見ているのは、自分が任されている仕事の範囲だけです。正社員がどんな判断をしていて、入社したら何年目に何を任されるのかは、見せない限り分かりません。
具体的には、次のような機会をつくります。
- 若手社員との時間:入社数年目の社員が、自分の仕事と入社してからの変化を話す場を、数か月に1回設ける
- 会議への同席:インターン生が普段は入らない会議に、聞き手として同席してもらう
- 任せる範囲の段階的な拡大:インターンの後半で、正社員の仕事の一部を補助として担当してもらう
大事なのは、こうした機会を「勧誘」に見せないことです。学生は勧誘の気配に敏感で、引いてしまうことがあります。あくまで仕事の理解を深める機会として設け、その中で自然に正社員の姿が見えるようにします。
エージェントベストの見解
長期インターンから新卒採用につながる会社と、つながらない会社の差は、インターン生と話す社員の顔ぶれにあると当社は見ています。つながらない会社では、インターン生が話すのは、指示を出す直属の社員だけということが多い。その社員がたまたま忙しく疲れていると、インターン生は「この会社で正社員になるとこうなる」と受け取ります。つながる会社では、インターン生が複数の部署の社員、とくに入社数年目の若手と話す機会を持っています。当社は新卒の媒体も扱い、人材紹介も行っていますが、学生の進路の決め方を見ていると、会社の評価は「仕事の面白さ」と同じくらい「一緒に働く人の様子」で決まります。インターン生にとって、日々の業務で接する社員がそのまま会社の顔になる。この前提で、誰と話す機会を設けるかを設計し直すと、本選考への関心は変わってきます。
打ち手2|本選考の案内を誰がいつするかを決める
本選考の案内は、早すぎても遅すぎても効きません。また、誰が伝えるかによって受け取られ方が変わります。
| 項目 | 決めること |
|---|---|
| 伝える人 | 直属の社員か、人事か、役員か。直属の社員が伝えると自然だが、評価と結びついて見える場合もある |
| 伝える時期 | 学生が就職活動を意識し始める時期の少し前。学年や大学によって違うので、本人に聞いて合わせる |
| 伝える内容 | 本選考の時期と流れ、インターン経験がどう扱われるか、受けなくても今のインターンは続けられること |
最後の「受けなくても続けられる」は、伝え忘れやすい一文です。これがないと、学生は本選考を受けないとインターンを続けにくいと感じ、かえって距離を置くことがあります。案内のタイミングの考え方は長期インターン生に本選考を案内するタイミングで詳しく扱っています。
打ち手3|インターン経験を本選考でどう扱うかを決める
インターン生にとって気になるのは、インターン経験が本選考でどう評価されるかです。ここが曖昧だと、「インターンで頑張っても選考では関係ない」と受け取られます。
- 書類選考や一次面接を省くのか
- 現場の社員の評価を選考に使うのか
- インターンでの成果を面接で話してもらうのか
どの形にするかは会社によって違いますが、決めたことはインターン生に伝えます。また、一般の応募者との公平さをどう保つかも、社内で話し合っておくべき点です。
外に出せる範囲と、社内に残す範囲
長期インターンを新卒採用につなげる設計のうち、外部に任せやすいのは募集の段階です。当社はInfraの代理店として、求人原稿の作成から運用までを支援しています。原稿の中で「新卒採用を見据えた長期インターンであること」をどう書くかは、募集の質に直結します。
一方で、受け入れ中の伝え方と本選考への案内は、社内に残す仕事です。インターン生と日々接しているのは社内の社員であり、その関係の中でしか伝えられないことがあるからです。
エージェントベストの見解
外部に任せる範囲を決めるとき、当社が先に確かめるのは「長期インターンの原稿と新卒採用の原稿で、会社の説明がずれていないか」です。長期インターンの原稿では「裁量がある」「若手から挑戦できる」と書いているのに、新卒の媒体では「研修が充実」「安定した基盤」と書いている。こうしたずれがあると、インターン生は本選考の情報を見たときに違和感を持ちます。複数の媒体を使い分ける会社ほど、このずれは起きやすくなります。当社はInfraのほかに新卒・中途の媒体も扱っているので、原稿を横に並べて、会社の説明が一つの筋で通っているかを確かめることができます。原稿をそろえるのは地味な作業ですが、インターンから本選考へ進む学生の迷いを減らすうえでは効果が見えやすい部分です。
新卒の媒体との組み合わせ方は母集団形成の媒体の組み合わせ方も参考にしてください。
まとめ
- 「つながらない」は、知らない・応募しない・辞退するの3段階に分けて見る
- 原因はインターンの位置づけ→受け入れ中の伝え方→本選考の案内の順に確かめる
- 正社員の仕事と、入社数年目の社員の姿を見せる機会をつくる
- 本選考の案内は、伝える人・時期・内容を決め、受けなくても続けられることを添える
- 長期インターンと新卒の原稿で、会社の説明をそろえる
よくある質問
長期インターン生に本選考を勧めると、プレッシャーになりませんか
伝え方によります。本選考を受けなくてもインターンは続けられると明言し、案内は一度にとどめ、その後は本人から聞かれたときに答える形にすると、プレッシャーは小さくなります。
インターン生の中で、本選考に進んでほしい人だけに案内してもよいですか
案内の対象を絞る会社もありますが、インターン生の間で情報の差が生まれると、不公平に受け取られることがあります。案内は全員にし、選考の中で判断するほうが関係を損ねにくくなります。
長期インターンを新卒採用につなげない、という判断はありですか
あります。業務の担い手として受け入れることに目的を絞るなら、本選考の設計は不要です。ただし、その場合でも、インターン生が自社の新卒採用を知る機会くらいは残しておくと、思わぬ応募につながることがあります。
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