スタートアップの長期インターン採用|少人数で受け入れる工夫
スタートアップにとって、長期インターンの学生は貴重な戦力になりえます。社員が少なく、やるべきことが多い中で、意欲のある学生が加わる意味は大きいものです。学生の側にも、スタートアップで働いてみたいという関心は根強くあります。結論から言うと、スタートアップの長期インターンは、社員が教える時間の少なさを前提に「教えなくても回る部分」を手順書と週次の場で作っておくことが、少人数での受け入れを続ける工夫の中心です。 熱意だけで受け入れると、社員の忙しさに学生の仕事が左右され、数か月で受け入れが途切れがちです。この記事では、学生向けの長期インターン求人サイトInfraで募集するスタートアップに向けて、少人数で受け入れる工夫を整理します。創業直後の段階に絞った考え方は創業期の会社の長期インターン採用で扱っています。
スタートアップの採用構造と、長期インターンの位置
スタートアップの採用は、事業の段階によって大きく変わります。創業直後は創業者の知り合いを中心に、資金を調達した後は中途の経験者を中心に採用を広げる、という流れが一般的です。新卒採用を行うのは、事業がある程度安定してからという会社が多いものです。
こうした流れの中に置くと、長期インターンの役割は次のように整理できます。
- 社員の手が届かない仕事の担い手:調べ物、リストづくり、SNS、データの整理
- 将来の採用の種:新卒採用を始めるときに、最初の候補になる学生との関係
- 会社の発信の担い手:学生の目線で、会社の日常を発信する
スタートアップでは、長期インターンの学生が、新卒採用を始める前の唯一の若手という状況もあります。その学生の経験が、将来の新卒採用の設計にも役立ちます。
受け入れ人数は「教える時間」から決める
スタートアップが長期インターンの受け入れ人数を決めるときは、やりたい仕事の量ではなく、社員が教えられる時間から逆算します。
- 教える担当の社員は誰か:一人に決める
- その社員が週に何時間を学生に使えるか:質問への回答、仕事の確認、振り返り
- 学生一人あたりに必要な時間:最初の一か月は多く、慣れると少なくなる
最初の一か月は、学生一人に多くの時間がかかります。そのため、最初は一人だけ受け入れ、その学生が慣れてから二人目を迎える、という順番が無理のない進め方です。慣れた学生が二人目の学生に教える形にできれば、社員の時間を増やさずに受け入れの人数を増やせます。
エージェントベストの見解
スタートアップの長期インターンで、当社が最もよく見る失敗は、資金の調達や大きな受注で忙しくなる直前に、学生を一度に複数人迎えてしまうことです。忙しくなるからこそ手が欲しい、という判断は自然ですが、忙しくなった社員には学生に教える時間がなく、学生は何をすればよいか分からないまま時間が過ぎます。その状態が数週間続くと、学生は辞めていき、社員には「長期インターンはうまくいかない」という印象だけが残ります。順番としては、忙しくなる時期の数か月前に一人を迎え、手順を一緒に作っておくことです。忙しい時期を迎えるころには、その学生が手順に沿って仕事を回し、新しく入る学生に教える役も担えるようになっています。手が欲しい時期から逆算して、早めに一人目を迎えることを勧めます。
教えなくても回る部分を作る
教える時間が限られるスタートアップでは、学生が自分で仕事を進められる仕組みを作っておくことが大切です。
手順書
繰り返し発生する仕事は、手順を文書にしておきます。最初の学生と一緒に作ると、学生が迷った点がそのまま手順書に反映され、次の学生が使いやすいものになります。画面の写真を入れておくと、文字だけより伝わりやすくなります。
週次の場
週に一度、三十分でもよいので、担当の社員と学生が話す時間を決めておきます。今週やったこと、困ったこと、来週やること。この場があれば、日々の細かな質問は週次の場にまとめられ、社員の作業が中断される回数が減ります。
質問の窓口
急ぎの質問は、チャットの決まった場所に書いてもらう形にします。社員は自分の時間の区切りで回答できます。急ぎでない質問は週次の場で扱う、と分けておきます。
判断してよい範囲
学生が自分で判断してよいことを決めておきます。判断の範囲が決まっていれば、学生は社員の返事を待たずに仕事を進められます。
変化の速さをどう伝えるか
スタートアップでは、事業の方向や優先順位が頻繁に変わります。学生がその変化に戸惑わないよう、伝え方を工夫します。
- 原稿の段階で書く:仕事の内容が変わることがあると、正直に書く
- 変わったときに理由を伝える:週次の場で、何が変わり、なぜ変わったかを話す
- 学生の仕事がどう生かされたかを伝える:方向が変わっても、学生の仕事が無駄でなかったことを示す
変化の速さは、スタートアップで働く魅力でもあります。変化を楽しめる学生にとっては、大きな学びの場になります。その魅力を伝えつつ、変化に戸惑う学生を置き去りにしない工夫が必要です。
学生を社員の代わりにしない
スタートアップの長期インターンでは、学生に社員と同じ責任を求めてしまうことがあります。人手が足りない中で、学生の力が頼りになるほど、その傾向は強くなります。
- 責任の重い判断は社員が持つ:顧客への約束、お金に関わる判断、採用の判断
- 学生の稼働を当てにしすぎない:試験期間や就職活動で稼働が減ることを前提にする
- 雇用の条件を守る:雇用契約を結ぶなら、最低賃金と労働時間の規定に沿った条件にする
二つ目は、学生を社員の代わりにしないための大切な点です。学生が抜けると止まる仕事を作らないことです。学生が担う仕事にも、社員が代わりに入れる状態を保っておきます。判断に迷う労務の点は、社会保険労務士などの専門家に確認してください。
エージェントベストの見解
スタートアップが長期インターンと他の採用手段をどう組み合わせるかについて、当社の見方を書いておきます。当社は長期インターンの媒体のほか、中途の求人サイトの運用代行、新卒向けの媒体、人材紹介を扱っていますが、スタートアップの採用では、長期インターンで若手との関係を作りつつ、事業の中核を担う人は中途で経験者を探す、という組み合わせが多く見られます。この組み合わせで気をつけたいのは、経験者が入ったときに、それまで長期インターンの学生が担っていた仕事の位置づけが曖昧になることです。経験者が入る前に、学生の仕事を経験者が引き継ぐのか、学生が経験者の下で続けるのかを決めておく。それを学生にも伝えておけば、学生は自分の居場所を見失わずに済みます。採用の手段を一つずつ決めるのではなく、チームの姿として一緒に考えることが、少人数の会社では特に大切です。
まとめ
- スタートアップの長期インターンは、受け入れ人数を社員の教える時間から逆算する
- 忙しくなる時期の数か月前に一人目を迎え、手順を一緒に作っておく
- 手順書・週次の場・質問の窓口・判断してよい範囲で、教えなくても回る部分を作る
- 方向が変わったときは、理由と学生の仕事がどう生かされたかを伝える
- 学生を社員の代わりにせず、学生が抜けると止まる仕事を作らない
よくある質問
社員が数人しかいなくても、長期インターンを受け入れられますか
受け入れることはできますが、教える担当の社員を一人決め、その人の時間を確保することが前提です。最初は一人だけ受け入れ、手順書を一緒に作りながら進めると、少人数でも続けやすくなります。
スタートアップの長期インターンに、ストックオプションのような報酬を用意すべきですか
報酬の設計は会社の判断ですが、雇用契約を結ぶ場合は、最低賃金や労働時間の規定を守った賃金を支払うことが前提です。それ以外の報酬を検討する場合は、扱いが複雑になることがあるため、専門家に相談してから決めてください。
長期インターンの学生が、そのまま社員になることはありますか
学生が卒業する時期に、新卒として迎える選択肢を持っておくとよいでしょう。新卒採用の仕組みがなくても、長期インターンで力を発揮した学生とは、卒業後の働き方について話す場を作っておくと、採用につながることがあります。インターンが短い期間で終わってしまう場合の見直し方は長期インターンが短期で終わってしまうときで扱っています。
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