エンジニアの長期インターンを採る|学生の開発経験の見方
エンジニア職の長期インターンを募集すると、応募書類に並ぶのは個人開発のアプリ、授業の課題、ハッカソンの作品、GitHubのリンクです。どれも「作ったもの」なので、見た目の完成度で比べたくなります。結論から言うと、学生の開発経験は完成度より「どこで詰まり、何を調べ、どう抜けたか」で見るほうが、入社後に伸びる学生を見分けやすくなります。 そしてその前に、受け入れる側でコードを読んで返せる人を決めておくことが、募集より先の仕事です。この記事では、学生向けの長期インターン求人サイトであるInfraでエンジニアを募集する会社に向けて、学生が見ていること、経験の見方、原稿、選考、受け入れの順に整理します。
学生エンジニアが求人で確かめていること
エンジニア志望の学生が長期インターンの求人を読むとき、仕事内容の説明より先に探している情報がいくつかあります。
- 使う言語と環境:授業や個人開発で触ったものと近いか。まったく触ったことがない場合、どこから学べばよいか
- コードを見てもらえるか:書いたものに誰かがコメントを返すのか、一人で書いて終わりなのか
- どこまで触らせてもらえるか:社内ツールだけか、本番のサービスにも関われるのか
- 授業との両立:週に何日、何時間から入れるか。試験期間に減らせるか
- リモートか出社か:通学の合間に通えるか
このうち、学生が最も気にするのは二つ目の「見てもらえるか」です。長期インターンを探すエンジニア志望の学生は、自分で書けることは分かっていて、チームで書いた経験が足りないと感じています。レビューの仕組みがあるかどうかは、給与や勤務地よりも先に比べられることがあります。
開発経験の見方|作ったものより、詰まった場所
書類や面談で開発経験を聞くとき、成果物の見た目だけを評価すると、時間をかけて見栄えを整えた学生と、難しいことに挑んで途中で止まった学生の差が見えません。次の問いで経験を分解すると、学生の伸びしろが読めます。
- 何を作ろうとしたか:動機と、最初に決めた範囲
- どこで止まったか:一番時間がかかった箇所はどこか
- 何を調べたか:公式ドキュメント、エラーメッセージ、他人のコード、質問サイト
- 誰に聞いたか:一人で抱えたのか、人に聞けたのか
- 今ならどう作るか:振り返って変えたい点を言えるか
この5つに答えられる学生は、実務で詰まったときも同じ動きができます。逆に、技術名を並べられても「どこで止まったか」を具体的に話せない場合は、チュートリアルをなぞった段階にとどまっていることがあります。どちらが良い悪いではなく、受け入れたあとに必要な教え方が変わります。
GitHubのリンクがある場合は、コミットの履歴を見ると作り方の癖が分かります。一度に大きく入れているか、小さく刻んでいるか。READMEに何を書いているか。完成していないリポジトリでも、途中までの考え方が読めれば十分な材料です。
求人原稿に書くこと
Infraの原稿では、学生が比べる情報を先に置きます。仕事の魅力を語るより、事実を並べるほうがエンジニア志望の学生には伝わります。
- 使っている言語・フレームワーク・インフラ:事実だけを書く。学生に未経験の技術があってもよいなら、そう書く
- 最初の一か月でやること:環境構築、既存コードを読む、小さな修正から、など段階で
- レビューする人:どの立場の社員が、どの頻度でコードを見るか
- 触れる範囲の広がり方:最初は社内ツール、慣れたら本番の機能、など
- 週の稼働の目安と、試験期間の扱い
「裁量がある」「最先端の技術」といった言葉は、学生にとって判断材料になりにくい言葉です。代わりに「入って三か月目の学生が担当した機能」の例を一つ書くと、任される仕事の大きさが伝わります。
エージェントベストの見解
エンジニアの長期インターン募集を始める前に、当社が先に確認するのは「週に何時間、学生のコードを読む社員がいるか」です。原稿は書けても、レビューする時間がない会社は、受け入れた学生が一人で書き続ける状態になり、数か月で辞退や離脱が起きやすくなります。学生側はレビューを期待して応募しているので、そのずれは早い段階で表に出ます。順番としては、まず社内でレビュー担当を一人決め、その人の週の時間を確保する。そのうえで受け入れる人数をその時間から逆算する。募集人数を先に決めて、あとからレビューの時間を探すと、ほとんどの場合足りません。原稿の「レビューする人」の欄が具体的に書けるかどうかが、募集を始めてよいかの目安になります。
選考の組み立て方
エンジニアの長期インターンの選考は、重くしすぎると応募が途中で止まります。学生は複数の会社に同時に応募していることが多く、課題に何日もかかる会社は後回しにされがちです。
- 書類:開発経験と稼働できる時間を確認する
- 面談:上の5つの問いで経験を聞く。会社側からは使っている技術と、レビューの仕組みを説明する
- 短い技術確認:その場で一緒にコードを読む、小さな修正の方針を話してもらう、など。持ち帰りの大きな課題は避ける
- 現場のエンジニアとの顔合わせ:受け入れ後に一緒に働く人と話す場を作る
持ち帰りの課題を出す場合は、所要時間の目安を伝え、実際の業務の一部をそのまま解かせる形にはしないことです。業務に近い作業をさせる場合の扱いは会社ごとに整理が必要で、迷う場合は社会保険労務士などの専門家に確認しておくと安心です。
受け入れの最初の数週間で決めておくこと
採用が決まってから慌てやすいのが、権限とセキュリティです。
- アカウントと権限:ソースコード、チャット、タスク管理、本番環境への接続。どこまでを初日に渡し、どこからを段階的に渡すか
- 秘密保持:雇用契約や誓約書の中で、扱う情報の範囲を確認する
- 貸与端末か私物か:私物の端末で開発させる場合のルール
- 勤務時間の記録:リモートで働く学生の時間をどう記録するか
長期インターンでも雇用契約を結んで働いてもらう場合は、最低賃金や労働時間の規定を守る前提で条件を決めます。学業との両立を考え、試験期間の稼働の減らし方も事前に決めておくと、あとで話し合う手間が減ります。
エージェントベストの見解
当社はInfraの代理店として長期インターンの募集を支援する一方で、Greenの運用代行や人材紹介を通じて、中途のエンジニア採用も見ています。その立場から言えるのは、「即戦力が欲しいなら長期インターンではなく中途で探すほうが早い」場面がある、ということです。長期インターンの学生は、最初の数か月は教える時間のほうが多くかかります。今期中に機能を一つ完成させたい、という目的なら、中途採用の求人サイトで経験者を探すほうが合っています。一方で、二年後の新卒採用でエンジニアを採りたい会社にとっては、長期インターンは学生と長く働いてから声をかけられる入口になります。目的が「今の開発の手」なのか「将来の新卒の母集団」なのかを先に分けると、長期インターンに期待してよいことが明確になります。
長期インターンから新卒採用へのつなぎ方はインターンから本選考への流れの設計で詳しく書いています。
まとめ
- 学生の開発経験は、完成度より「どこで詰まり、何を調べ、誰に聞き、どう抜けたか」で見る
- 学生が最も確かめているのは、書いたコードを誰かが見てくれるかどうか
- 原稿には技術・最初の一か月・レビュー担当・触れる範囲の広がり方を事実で書く
- 募集人数は、レビューできる社員の時間から逆算する
- 今の開発の手が欲しいのか、将来の新卒の母集団を作りたいのかで、長期インターンへの期待を分ける
よくある質問
プログラミング未経験の学生も受け入れてよいですか
受け入れる側に教える時間があるなら選択肢になります。その場合は原稿に「未経験可」と書くだけでなく、最初の数週間で何を学んでもらうか、誰が教えるかを書いておくと、学生も判断しやすくなります。教える時間が取れないなら、個人開発の経験がある学生に絞るほうが、双方の負担が小さくなります。
技術課題は出したほうがよいですか
出す場合は短く、所要時間を伝えてください。学生は複数社を並行して受けているので、重い課題は離脱の原因になりがちです。面談の中で一緒にコードを読む、修正の方針を話してもらうといった形でも、考え方は十分に分かります。
長期インターンの学生に、そのまま新卒で入社してもらうことはできますか
可能性はありますが、長期インターンを新卒の選考と同じものとして扱うかどうかは、会社として方針を決めておく必要があります。インターン中に評価を伝える時期と、本選考に誘う時期を決めておくと、学生も先の見通しを持って働けます。インターンを入口とした母集団の作り方はインターンからの母集団形成も参考にしてください。
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