長期インターンを新卒採用に直結させるときの注意点
長期インターンを新卒採用に「直結」させる、つまりインターンの評価をそのまま選考に使い、インターン生を優先的に内定へ進める形をとる会社があります。学生と長く接しているぶん、面接だけでは分からないことが見えるという利点があります。ただし、直結させるほど、学生にとっての「断りにくさ」と、社内での「評価の偏り」が大きくなります。 この2つに手当てをしないまま直結させると、内定辞退や入社後の不満という形で跳ね返ってきます。この記事では、学生向けの長期インターン求人サイトInfraなどで受け入れた学生を新卒採用に直結させるときに、先に確かめておきたい点を整理します。
直結させると何が変わるか
直結の度合いは会社によってさまざまですが、おおむね次のような形があります。
| 直結の度合い | 内容 |
|---|---|
| 弱い | 本選考の案内を優先的に送るが、選考は一般の応募者と同じ |
| 中くらい | 書類選考や一次面接を省き、途中の段階から選考に入ってもらう |
| 強い | インターンでの評価をもとに、面接の回数を大きく減らして内定を出す |
度合いが強くなるほど、学生の負担は減り、会社は早く内定を出せます。一方で、後で述べる問題も大きくなります。自社がどの度合いを選ぶのかを、まず言葉にしておきます。
注意点1|学生が断りにくくなる
直結の度合いが強いと、インターン生は「本選考を受けないと気まずい」「内定を断ると、残りのインターン期間が居づらくなる」と感じやすくなります。学生は、日々一緒に働いている社員の顔が浮かぶので、断るという判断を先延ばしにしがちです。
その結果、次のようなことが起きます。
- 本心では迷っているのに、内定を承諾する
- 他社の選考を並行して進め、入社の直前に辞退する
- 入社したものの、「流れで決めてしまった」という気持ちが残る
手当て
- 本選考の案内のときに、「受けなくてもインターンは続けられる」「内定を断ってもインターンの扱いは変わらない」と明言する
- 内定の承諾を急がせない。他社と比べて決めることを認める
- 本選考の案内と日々の業務の指示を、別の人が担当する
注意点2|一般の応募者との公平さ
インターン生を優遇すると、一般の応募者との間に差が生まれます。社内では「インターン生はよく知っているから」という理由で納得されても、外から見ると不公平に映ることがあります。
とくに気をつけたいのは、次の点です。
- インターンに参加できる学生は、時間や地理の面で条件が限られる。参加できなかった学生が、本選考で不利にならないか
- インターン生の評価と、一般の応募者の評価が、同じ物差しで比べられるか
- 選考の扱いの違いを、聞かれたときに説明できるか
手当て
- インターン生を優遇する範囲を、選考の一部を省くことなどに限り、最終の判断は同じ基準で行う
- 選考の扱いの違いを、会社として説明できる形で言葉にしておく
- インターンに参加できない学生にも、会社を知ってもらう別の機会を用意する
エージェントベストの見解
直結の相談を受けたとき、当社が最初に確かめるのは「インターン生を優遇している理由を、一般の応募者に説明できるか」です。説明できる理由とは、たとえば「インターンでの数か月の仕事ぶりを見ているので、面接で確かめる項目を減らしている」といったものです。これは筋が通っています。一方、「インターン生は会社に慣れているから」「現場が気に入っているから」という理由は、説明としては弱く、評価の偏りにもつながりやすい。当社は新卒の媒体も扱い、人材紹介も行っていますが、採用の入口が複数ある会社ほど、入口ごとに評価の基準が違ってしまう問題を抱えがちです。直結させるなら、「何を見たから、どの選考を省くのか」を一文で言える状態にしておくこと。それができれば、公平さの問題も評価の偏りの問題も、かなり小さくできます。
注意点3|受け入れ部署の評価が偏る
インターンでの評価を選考に使うとき、その評価は受け入れ部署の社員が付けることになります。ここには、いくつかの偏りが入り込みます。
- 相性の偏り:指示を出す社員と相性のよい学生が高く評価されやすい
- 仕事の偏り:目立つ仕事を任された学生ほど評価されやすく、地味な仕事を任された学生は見えにくい
- 部署の偏り:受け入れ部署の求める資質が、会社全体の新卒採用の基準と違うことがある
3つ目はとくに見落とされがちです。たとえば、営業部で受け入れたインターン生を、営業部の評価だけで内定させると、営業以外の部署に配属されたときに合わないことがあります。
手当て
- 受け入れ部署の評価に加えて、別部署の社員や人事が面接する機会を残す
- 評価の項目を、新卒採用の基準とそろえる
- 任せた仕事の内容を評価と一緒に記録し、仕事の偏りを読み取れるようにする
直結させる前の確認リスト
直結の仕組みを始める前に、次の項目を社内で確かめておきます。一つでも答えられない項目があれば、直結の度合いを一段弱くして始めるほうが安全です。
- インターンの評価を付けるのは誰か。評価の項目は決まっているか
- どの選考を省くのか。省く理由を一文で言えるか
- インターン生が本選考を受けない、または内定を断った場合の扱いは決まっているか
- 一般の応募者から、選考の扱いの違いについて聞かれたら、誰がどう答えるか
- 受け入れ部署と新卒の配属先が違う場合、配属先の社員が会う機会はあるか
この確認は、制度を整えるためだけでなく、受け入れ部署と人事の間で認識をそろえるためにも役立ちます。
求人原稿での書き方
直結させる場合、求人原稿で選考との関係をどう書くかも大切です。書き方によって、応募してくる学生の層が変わります。
- 「インターンから本選考へ優先案内」と強く打ち出す:就職活動を意識した学生が集まりやすい。一方で、内定目当てで、仕事への関心が薄い学生も混ざりやすくなる
- 「本選考の案内をすることがある」程度にとどめる:仕事そのものへの関心で応募する学生が集まりやすい。新卒採用への接続は、受け入れ後に育てていく形になる
どちらがよいかは会社の目的によりますが、仕事への関心が薄い学生が多く集まると、受け入れの負担が増えます。
エージェントベストの見解
当社はInfraの代理店として、長期インターンの求人原稿の作成から関わっていますが、直結を前面に出した原稿については慎重に考えるよう勧めることが多くあります。理由は、直結を目当てに応募してくる学生は、インターンの仕事を「内定への通過点」として見ていることがあり、仕事への向き合い方が受け身になりやすいからです。それよりも、原稿ではまず仕事の中身と、任せる範囲と、身につくことを書き、新卒採用との関係は「本選考の案内をすることがある」程度にとどめる。そのうえで、受け入れ後に仕事ぶりを見て、本選考を案内する学生を決める。この順番のほうが、直結の利点である「仕事ぶりを見て判断できる」ことを活かしやすくなります。直結は原稿で約束するものではなく、受け入れの中で結果として生まれるものと考えるほうが、無理がありません。
全体の設計は長期インターンから新卒採用へつなぐ設計で整理しています。
まとめ
- 直結の度合いには強弱があり、自社がどこを選ぶかを言葉にしておく
- 直結させるほど学生は断りにくくなるので、「受けなくても、断っても扱いは変わらない」と明言する
- 一般の応募者との公平さは、優遇の範囲を限り、理由を説明できる形にする
- 受け入れ部署の評価の偏りは、別部署や人事の面接と、評価項目の統一で補う
- 求人原稿では直結を約束せず、仕事の中身を先に書く
よくある質問
インターン生に内定を出す時期は、一般の応募者より早くてもよいですか
早く出す会社もありますが、早く出すほど承諾までの期間が長くなり、その間に気持ちが揺れやすくなります。内定を出した後のフォローの体制と合わせて判断してください。
インターンの評価だけで内定を出しても問題はありませんか
制度上の問題がないかは会社の採用の方針によりますが、評価の偏りを避けるため、受け入れ部署以外の視点を一度は入れることを勧めます。判断に迷う場合は、社内の関係部署や専門家に相談してください。
直結させないほうがよい会社はありますか
受け入れ部署と新卒の配属先が大きく違う会社や、インターン生の数が少なく評価の比較が難しい会社では、直結の度合いを弱くしておくほうが無理がない場合があります。
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