採用ファネルに置くKPI|通過率を置かず、日数と近い人の数を見る
採用ファネルを作ってKPIを置きたい。ところが、各段の数と通過率を並べた表を作り、全媒体を合算し、各段に目標値を置き、毎月「通過率が下がりました」で終わり、通過率を上げるために面談で人を落とすようになる。結論から言うと、ファネルは「数の減り方」を見る表ではなく、「どの段で待たせているか」と「どの段で近い人が落ちているか」を指す表です。各段に置くのは「数」「日数」「近い人の数」の三つで、通過率を各段に置くと、率を上げるために人を落とす運用に寄ります。段の切り方は自社の選考に合わせ、媒体ごとに分けて作ります。見るのは絶対値より変化で、先月と比べて日数が延びた段が、翌月に数が減る段です。目標値は最後の段(採用した数)だけに置きます。 KPIの全体は採用KPIの基本、ファネルの作り方そのものは採用ファネルの作り方で書きました。この記事は、ファネルに置くKPIを書きます。
この作業の目的|ファネルを、「詰まりを指す表」にする
ファネルを作る目的は、数が減っていく様子を眺めることではなく、「どこで止まっているか」を毎月指せることです。数の減り方は、どの会社でも減っていくので、減っていること自体からは何も分かりません。
目的は、各段に「日数」と「近い人の数」を足して、詰まっている段と、質が落ちている段を指せる表にすることです。
ファネルのKPIで、起きる失敗
| 失敗 | 何が起きるか |
|---|---|
| 数の減り方だけを見る | 「だんだん減る」は当たり前で、どこを直すかが分からない |
| 通過率を各段に置く | 率を上げるために、その段で人を落とす(面談に呼ぶ数を絞る) |
| 全媒体を合算する | 入口によって減り方が違うのに、平均で見えなくなる |
| 各段に目標値を置く | 毎月「未達」の段が並び、直す優先順位が出ない |
| 「近い人の数」が無い | 数は追えても、質が落ちている段が見えない |
| 更新が止まる | 手で集める作業が重く、三か月で止まる |
共通するのは、ファネルを「報告の表」として作っていて、「直す場所を指す表」として作っていないことです。
段の、切り方
自社の選考に合わせて、五つから七つに切ります。多いと更新が止まります。
- 入口:オファーの承認、エントリー、イベントの参加、紹介
- 面談:最初に会う場(一次面接の前のカジュアルな場を置く会社はここ)
- 一次選考
- 二次選考(段が多い会社は、中間をまとめる)
- 最終選考
- 内定
- 承諾
「書類選考」を一段に置くかは、実際に落としているかで決めます。ほぼ全員を通すなら、段にしません。段は、人が減る場所に置きます。
エージェントベストの見解
相談で最も多い思い込みは、「ファネルは各段の通過率を見る表で、通過率が低い段を直すものだ」というものです。当社は3媒体すべての販売パートナーとして、多くの会社のファネルを見ていますが、通過率を各段のKPIにした会社で起きるのは、段の改善ではなく、その段に進める人数を絞ることです。面談から一次への通過率が低ければ、面談に呼ぶ数を絞れば率は上がります。率は上がり、採用した数は減ります。当社が最初にお願いするのは、各段から通過率を外し、「数」「日数」「近い人の数」の三つにすることです。三つのうち、最も早く動くのは日数です。日数が延びた段は、翌月に数が減ります。返事が遅れた段で、学生が他社に決めているからです。通過率は月末に分かる結果で、日数は今週分かる兆しです。ファネルを「結果の表」から「兆しの表」に変えるのが、日数を各段に置く意味です。
各段に置く、三つ
| 置くもの | 中身 | 見方 |
|---|---|---|
| 数 | その段に進んだ人の数 | 先月と比べる。目標値は最後の段だけ |
| 日数 | 前の段からその段までにかかった日数(中央値でよい) | 先月と比べる。延びた段が、翌月に数が減る段 |
| 近い人の数 | その段に進んだ人のうち、「こんな人」に近い人の数 | 先月と比べる。減っていれば、その段より前で質が落ちている |
三つで、「量」「速さ」「質」が段ごとに分かります。通過率は、必要なときに数から計算できるので、表には置きません。
通過率を、置かない理由
- 率は、その段に進める数を絞れば上がる:直す代わりに絞る運用に寄る
- 率は、分母が小さいと大きく動く:一人の合否で率が動き、傾向に見える
- 率は、月末まで分からない:日数は今週分かる
- 率が下がっても、近い人の数が増えていれば、良くなっている:絞り方を強くした年は、率が下がって質が上がる
- 率を使うのは、逆算のとき:「採用〇人 → 承諾△人 → …」の逆算に前年の率を使う
率は逆算の道具で、各段のKPIにはしません。
日数で、先に気付く
- 各段の日数を、週に一度見る:数は月に一度でよいが、日数は週に一度
- 延びた段を、その週に直す:返信の担当を増やす、面接官の枠を増やす、判定の会議を早める
- 日数が延びる原因は、三つ:返信が遅い、面接官の枠が無い、判定に時間がかかる。どれかを特定する
- 待たせている間に、接点を置く:長く待たせる段では、現場の社員から一通。選考中から辞退を減らす設計
- 日数の目標値は置かない:「先月より延びていないか」で見る
日数は、数が減る前に動く唯一の数です。
媒体ごとに、分けて作る
- 入口ごとに、別のファネル:スカウト・掲載・イベント・紹介・リファラル
- 合算のファネルは、作らない:入口ごとに減り方が違うので、平均は意味を持たない
- 入口ごとに、どの段が細いかを見る:スカウトは面談まで来るが一次で落ちる、掲載は数が多いが面談に来ない、のような差が出る
- 入口ごとの最後の段(承諾した数)で、配分を決める:母集団形成の媒体の組み合わせ方
- 媒体の中の運用のKPI(承認率・返信率)は、媒体の表に:ファネルには面談から載せる。媒体別のKPI設計
入口ごとに分けると表が増えますが、同じ型なので、台帳から出す形にすれば更新は一度で済みます。
目標値は、最後の段だけ
- 最後の段(採用した数)に、目標値を置く:「何人を」から
- 各段には、置かない:代わりに「先月と比べて」で見る
- 逆算した必要数は、目安として横に:「面談に〇〇人来れば届く」の目安。目標値ではなく参考
- 逆算の率は、月に一度置き直す:前年の率で固定せず、今年の実績で
- 未達の段を並べない:直す場所は、日数が延びた段と、近い人の数が減った段で決める
目標値が一つだと、月に一度の場で「どこを直すか」の議論になります。目標値が各段にあると、「未達の説明」の場になります。
月に一度の、見方
- 最後の段(採用した数)の見込みを、目標と比べる:届く見込みか
- 日数が延びた段を、探す:先月と比べて。延びていれば、その週に直したことを確認
- 近い人の数が減った段を、探す:減っていれば、その段より前(絞り方・文面)を直す
- 入口ごとに、細い段を見る:入口によって細い段が違う
- 直すことを、一つ決める:「〇〇の段の日数を戻す。人事が返信の担当を増やす」
- 通過率は、聞かれたら出す:表には置かない
出るのは「直すことを一つ」です。月に一度の場の記録は、その一文で足ります。
社内の分担
| 作業 | 誰が |
|---|---|
| 段の切り方を決める | 採用の責任者。人が減る場所に段を置く |
| 「こんな人」の一文を決める | 配属先の責任者。近い人の数を数えるため |
| 台帳から三つを出す | 人事。入口ごとに |
| 週に一度、日数を見て直す | 人事 |
| 月に一度、直すことを一つ決める | 人事と採用の責任者 |
| 逆算の率を月に一度置き直す | 人事 |
| 更新が止まらない形にする | 人事。台帳から自動で出る形に |
運用代行や代理店が支えられるのは、段の型、三つの型、台帳から出す形までで、段の決定、「こんな人」の一文、直すことの決定は社内が担います。
エージェントベストの見解
ファネルのKPIで、当社が先にお伝えしているのは、「更新が止まるファネルは、段が多すぎる」ということです。申し込んだあとにファネルが三か月で止まる会社に共通するのは、段を十以上に切り、各段に数と率と日数と質を並べ、手で集めていることです。集める作業が週に数時間になると、繁忙期に止まります。当社が案内するのは、段を五つから七つに絞り、置くものを三つに絞り、台帳から自動で出る形にすることです。台帳に「入口・各段に進んだ日・近い人かどうか」の欄があれば、三つは計算で出ます。手で集める数を無くすことが、ファネルを一年続ける条件です。細かいファネルを三か月で止めるより、粗いファネルを三年続けるほうが、前年比が見られて直す場所が出ます。
まとめ
- ファネルは「数の減り方」を見る表ではなく、「どの段で待たせているか」「どの段で近い人が落ちているか」を指す表
- 各段に置くのは「数」「日数」「近い人の数」の三つ。通過率を各段に置くと、率を上げるために人を落とす運用に寄る
- 日数は数が減る前に動く唯一の数。週に一度見て、延びた段をその週に直す
- 入口ごとに分けて作る。合算のファネルは平均で見えなくなる
- 目標値は最後の段(採用した数)だけ。段は五つから七つ、置くものは三つに絞り、台帳から自動で出す
よくある質問
通過率を全く見なくてよいのですか
各段のKPIには置きませんが、逆算のときと、聞かれたときに数から計算します。「面談〇人 → 一次△人」の数があれば率は出せるので、表に常に置く必要はありません。表に置くと、率を上げる運用に寄ります。
「近い人の数」を数える人がいません
「こんな人」の一文が決まっていれば、面談を担当した人が「近い/近くない」を台帳に付けるだけです。判断は一人でよく、精度より一貫性が要ります。同じ人が付け続ければ、変化が見えます。一文が無いなら、まず配属先の責任者と一文を決めることが先です。
採用ファネルのKPI設計は、御社に相談できますか
できます。当社は、段の型、三つの型、台帳から出す形を支えられます。段の決定、「こんな人」の一文、直すことの決定は、社内で担ってください。当社はOfferBox・Wantedly・ワンキャリアの販売パートナーとして、入口ごとのファネルの作り方を支えています。3媒体の全体像は3媒体の違いと選び方にまとめています。
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