内定後の他社応募をどう考えるか|学生の権利として扱う
内定を出した学生が、他社の選考を続けている。承諾の条件に「他社の選考をやめること」を入れてよいか、承諾後に他社の内定を受けた学生を責めてよいか、「他社を辞退したら内定を出す」と伝えてよいか分からない。結論から言うと、内定を出した学生が他社の選考を続けることは、学生の側の権利で、会社が止めることも、承諾の条件にすることも、「他社を辞退したら内定を出す」と迫ることもしません。止めようとする会社ほど、承諾は取れても入社前に辞退され、体験談に「圧をかけられた」と書かれて次の年の学生が来なくなります。会社ができるのは、「比べられても残る材料」を渡すことと、「いつまでに決めてほしいか」を相手の状況を聞いて決めることの二つです。他社の選考を続けている学生には、それを聞ける関係を作り、比べている相手と比べている軸を、押さずに聞きます。 内定連絡の押さない書き方は内定連絡の文面で書きました。この記事は、他社応募への向き合い方を書きます。
この作業の目的|「止める」から「比べられても残る」に変える
内定後に他社の選考を続ける学生を止めようとすると、学生は会社を「自分の選択を縛る相手」と見ます。承諾はその場で取れても、入社までの間に「押されて決めた」と気付き、辞退します。辞退しなくても、入社後に「あのとき圧をかけられた」が残ります。
目的は、他社応募を止めることではなく、他社と比べられたときに自社が残る材料を渡し、学生が自分で決められる状態を作ることです。
内定後の他社応募で、起きる失敗
| 失敗 | 何が起きるか |
|---|---|
| 他社の選考をやめるよう求める | 学生の権利を縛る。体験談に「圧をかけられた」と書かれる |
| 承諾の条件に「他社の辞退」を入れる | 承諾は取れても、隠れて続けられ、入社前に辞退される |
| 「他社を辞退したら内定を出す」と迫る | 迫られた学生は、内定を受けても信用しない。次の年の学生が来なくなる |
| 承諾後の他社応募を責める | 学生が会社に本当のことを言わなくなり、辞退の兆しが見えなくなる |
| 他社の選考状況を聞き出そうとする | 学生は答えず、会社を警戒する |
| 「うちに決めるなら」と条件を変える | 他の内定者との差ができ、後で分かって信用を失う |
共通するのは、学生の選択を会社が管理しようとしていることです。管理はできず、しようとするほど失います。
学生の側の、権利として扱う
- 他社の選考を続けることは、学生の自由:会社が止める根拠は無い。承諾の前も、承諾の後も
- 承諾は、学生の意思の表明で、拘束ではない:承諾後に辞退する学生を、会社が縛ることはできない
- 「他社を辞退してから」を条件にしない:条件にした時点で、学生は会社を「縛る相手」と見る
- 他社の選考状況を、聞き出さない:学生が自分から話したときだけ聞く。話せる関係を作る
- 止めるための働きかけは、すべてしない:連絡を増やす、期限を急に縮める、「他社より」と比べる、いずれも逆に働く
会社にできるのは、学生が自分で決めるときに、自社が残る材料を渡すことだけです。
エージェントベストの見解
相談で最も多い思い込みは、「内定を出したのだから、他社の選考はやめてもらうのが筋で、承諾の条件に入れてよい」というものです。当社は3媒体すべての販売パートナーとして、内定後の運用まで見ていますが、承諾の条件に他社の辞退を入れた会社は、その年の承諾は取れても、入社前の辞退が増え、翌年にワンキャリアの体験談やSNSで「圧をかけられた」と書かれ、次の年の母集団が減ります。学生は、内定の先の三年、四年をその会社で過ごすかを決めていて、他社と比べるのは当然の行動です。比べさせない会社は、「比べられたら負ける会社」と読まれます。当社が最初にお願いするのは、承諾の条件から他社に関することをすべて消し、代わりに「比べられても残る材料」を渡すことです。仕事の中身、最初の年、一緒に働く人、条件の書面。それを渡した上で、「他社と比べて気になっているところがあれば、聞かせてください」と、押さずに聞ける関係を作ります。比べられて残った学生は、入社後も残ります。
会社ができる、二つ
| できること | 中身 |
|---|---|
| 比べられても残る材料を渡す | 仕事の中身と最初の年と一緒に働く人(読むもの・話す相手)、条件の書面、質問の窓口。内定者フォローの基本 |
| いつまでに決めてほしいかを、相手の状況を聞いて決める | 「他社の結果はいつ頃出ますか」を聞き、それを踏まえて期限を置く。一方的に短くしない。延長を求められたら、理由を聞いて応じる |
二つの外に、会社ができることはありません。二つを丁寧にすることが、他社応募への対応のすべてです。
他社の選考を続けている学生への、接し方
- 続けていることを、責めない:「そうですか。結果が出たら教えてください」で受ける
- 比べている相手と軸を、押さずに聞く:「気になっているところがあれば」と一度だけ聞く。答えなければ聞かない
- 比べている軸に、自社の材料を足す:勤務地なら勤務地の情報を、仕事の中身なら現場の社員との接点を。他社を下げない
- 連絡の頻度を、変えない:続けていると知って連絡を増やすと、圧になる
- 話す相手(現場の社員)が、普通に接する:「最近どう」の一通は、他社の話に触れない
- 期限の前に、一度だけ聞く:「期限が近いですが、決めるために足りないものはありますか」。延長の申し出には応じる
学生が「この会社には正直に言える」と感じる関係が、比べられたときに残る条件です。
承諾後に、他社の内定を受けた学生への対応
- 承諾後の辞退も、責めない:損害を求めない
- 理由は、辞退の連絡の場で聞かない:数日後に、別の人から一通。内定辞退の理由の分け方
- 承諾後に他社の選考を続けていたことを、責めない:責めると、次の年の学生に伝わる
- 「戻ってきてよい」を、伝えられるなら伝える:入社後に合わなかったときの道があるなら、一言添える
- 記録は、五つの分け方で:「他社」の一語ではなく、いつ決めたか、何で比べたか
承諾後の辞退への対応が、次の年の学生に最も読まれます。
媒体ごとに、変わる点
- OfferBox:学生は複数の会社からオファーを受けていて、比べるのが前提の場。オファーの文面で「比べてください」と書ける会社が残る。OfferBox経由の内定辞退が続くとき
- Wantedly:共感で来た学生ほど、他社と比べたときに条件で揺れる。条件の書面を早く渡す。Wantedly経由の内定辞退が続くとき
- ワンキャリア:内定後の対応が、翌年の体験談に最も書かれる場。「圧をかけられた」が書かれると、次の年の母集団に直接効く。ワンキャリア経由の内定辞退が続くとき
三つとも、他社応募を止めないことは同じで、比べられる前提の強さと、体験談への影響の大きさが違います。
社内の分担
| 作業 | 誰が |
|---|---|
| 承諾の条件と連絡の文面から、他社に関することを消す | 採用の責任者 |
| 比べられても残る材料を渡す | 人事(読むもの・条件の書面)、現場の社員(話す相手) |
| 期限を、相手の状況を聞いて決める | 人事。延長の判断も |
| 比べている軸を、押さずに聞く | 話す相手(現場の社員) |
| 承諾後の辞退への対応 | 人事。責めず、別の人から一通 |
| 経営と現場に、止めない方針を共有する | 採用の責任者。「他社をやめさせろ」の指示を防ぐ |
運用代行や代理店が支えられるのは、文面の型、期限の決め方の型、記録の型までで、材料を渡すこと、聞くこと、経営への共有は社内が担います。
エージェントベストの見解
他社応募への対応で、当社が先にお伝えしているのは、「止めない方針は、人事だけでは守れない」ということです。人事が押さない文面を作っても、経営や現場の責任者が面談で「他社はやめるよね」「うちに決めてくれるなら」と言うと、学生にはそれが会社の姿勢として残ります。申し込んだあとに内定後の運用が崩れる会社に共通するのは、人事の方針と、面談に出る経営・現場の言葉が違うことです。当社が案内するのは、内定を出す前に、面談に出る全員に「他社の選考について、言わないこと」を一枚で共有することです。「やめてほしい」「他社より」「決めてくれるなら」を言わない。代わりに「比べて気になるところがあれば聞かせて」だけを言う。一枚で共有しておけば、経営が善意で言ってしまう一言を防げます。止めない方針は、文面ではなく、面談に出る人の言葉で決まります。
まとめ
- 内定後に他社の選考を続けることは、学生の側の権利。止めない、承諾の条件にしない、「他社を辞退したら内定」と迫らない
- 止めようとする会社ほど、承諾は取れても入社前に辞退され、体験談に「圧をかけられた」と書かれて次の年の学生が来なくなる
- 会社ができるのは「比べられても残る材料を渡す」と「いつまでに決めてほしいかを相手の状況を聞いて決める」の二つだけ
- 他社の選考を続けている学生には、責めず、比べている軸を押さずに聞き、連絡の頻度を変えない
- 止めない方針は、人事の文面だけでは守れない。面談に出る全員に「言わないこと」を一枚で共有する
よくある質問
承諾の際に「他社は辞退します」と言ってもらうのは、問題ですか
会社から求めるのは避けます。学生が自分から言うのは自由ですが、会社が言わせると、承諾の条件になり、学生は会社を「縛る相手」と見ます。承諾は学生の意思の表明で、拘束ではありません。承諾後も他社の選考を続けられることを、会社の側が前提にしておくと、承諾後の辞退にも落ち着いて対応できます。
承諾後に他社の内定を受けて辞退されました。損害を請求できますか
請求は勧めません。法的な扱いは専門家に確認するものですが、実務では、請求の話は次の年の学生に伝わり、会社の側の損失を大きくします。責めず、数日後に別の人から一通で理由を聞き、五つの分け方で記録して、翌年に直す場所を決めることに使います。承諾後の辞退への対応は、次の年の学生に最も読まれます。
内定後の他社応募への対応は、御社に相談できますか
できます。当社は、文面の型、期限の決め方の型、記録の型を支えられます。材料を渡すこと、聞くこと、経営への共有は、社内で担ってください。当社はOfferBox・Wantedly・ワンキャリアの販売パートナーとして、内定後の運用まで含めて支えています。3媒体の全体像は3媒体の違いと選び方にまとめています。
相談無料 / 求人広告代理店エージェントベスト
採用の進め方を、媒体選びから一緒に整理しませんか
- 採用人数・時期・体制から、どの媒体で何をするかを一緒に整理します
- スカウト代行・運用代行と組み合わせて、手が回らない部分を外に出せます
- 料金は各媒体の正規料金のまま。ご相談・お見積りは無料です
この記事の内容に合うサービス:採用ご担当者さま向けサービス一覧 ↗人材紹介・採用代行・求人広告代理店