Wantedlyのスカウト運用のKPI設計|見る段と止まった段の直し方
スカウト運用のKPIというと、「月に何通送る」「返信率を何割にする」という目標値を先に置く形になりがちです。ところが、送信数を目標にすると読まずに送ることになり、返信率を目標にすると煽りの文面に寄ります。結論から言うと、Wantedlyのスカウト運用のKPIは、送った数ではなく「読んだ数」から始め、返信・面談・選考・決定の各段を並べ、目標値ではなく「先月からの変化」と「面談で聞いた言葉」で見ます。段ごとに、止まっているときに直す場所が違うので、KPIは目標ではなく「どこで止まっているかを見つける表」として使います。 この記事では、目標値を先に置く失敗、見る段とその意味、変化と言葉で見る理由、止まっている段ごとの直す場所、返信率だけを追うと起きること、報告の形、直す頻度、台帳との関係、分担を整理します。この記事では、目標値の具体は書きません。自社の台帳から出る変化が、自社の基準です。OfferBoxでのKPIの考え方はOfferBoxのKPI設計で書きましたが、Wantedlyでも同じ順番です。
この作業の目的|どこで止まっているかを、毎月見つける
KPIの目的は、達成することではなく、「スカウトから決定までの流れの、どこで止まっているか」を毎月見つけることです。
止まっている段が分かれば、直す場所が決まります。文面か、絞り込みか、返信対応か、面談か、選考か。段を分けずに「返信率が低い」とだけ見ると、文面を直すしかなくなり、原因が返信対応や募集記事にあっても気づきません。
目標値を先に置く失敗
| 目標 | 何が起きるか |
|---|---|
| 「月に〇通送る」 | 読まずに送る。テンプレになり、返信が減る |
| 「返信率〇割」 | 煽りの文面に寄る。返信は増えるが面談で離れる |
| 「面談数〇件」 | 返信した人を無理に面談に呼ぶ。合わない人が増える |
| 「一般に良いとされる返信率に合わせる」 | 自社の相手と条件が違う。当てはまらない |
| 全部の段に目標値を置く | 数字を作るための運用になる |
共通するのは、「数字を作ること」が目的になることです。数字は、運用の結果であって、目的ではありません。
見る段と、それぞれの意味
| 段 | 何を数えるか | 意味 |
|---|---|---|
| 読んだ数 | プロフィールを読んで、送るか送らないかを判断した数 | 運用の起点。これが送る数の上限 |
| 送った数 | 読んで、一文を書いて送った数 | 読んだ数との差が「送らない判断」の数 |
| 返信 | 返信が来た数と、内容の型(前向き・質問・断り) | 文面と絞り込みと会社ページの結果 |
| 面談 | 面談まで進んだ数 | 返信対応の速さと、日程調整の結果 |
| 選考 | 選考に進んだ数 | 面談の質と、選考への移し方の結果 |
| 決定 | 決まった数 | 全体の結果 |
「読んだ数」から始めるのが要点です。送った数から始めると、「もっと送れ」になります。読んだ数から始めると、「読む時間をどう確保するか」の話になり、運用が続きます。
エージェントベストの見解
相談で最も多い思い込みは、「返信率が、スカウト運用の良し悪しを表す」というものです。当社は3媒体すべての販売パートナーとしてWantedlyのスカウトの運用を見ていますが、返信率が高い会社が、決定まで進んでいるとは限りません。煽りの文面で返信を集め、面談で「思っていたのと違う」と離れる。返信率だけを見ていると、この会社は「うまくいっている」に見えます。逆に、返信率は目立たなくても、返信した人のほとんどが面談に来て、選考に進む会社があります。当社がKPIを設計するとき、返信率を単独では見ません。返信から面談、面談から選考、の各段を並べて、どこで細くなっているかを見ます。返信率は、その表の一行にすぎません。
数字の目標値ではなく、変化と言葉で見る
各段の数字は、目標値と比べるのではなく、次の2つで見ます。
- 先月からの変化:増えたか、減ったか、変わらないか。増減の理由を、その月に直したことと結びつける
- 面談で聞いた言葉:「どこを読んで来たか」「文面のどこに反応したか」「記事と違ったこと」。数字の理由は、この言葉にある
目標値を置かない理由は、自社の相手と募集と時期で、数字の水準が変わるからです。「返信率が低い」かどうかは、他社と比べても分からず、自社の先月と比べて初めて分かります。
数字が変わった月は、「何を変えたか」を必ずしも一つに絞れないことがあります。だから、月に一度、一か所だけ直します。一か所だけ直していれば、変化の理由が分かります。
止まっている段ごとの、直す場所
| 細くなっている段 | 見る場所 | 直す場所 |
|---|---|---|
| 読んだ数が少ない | 読む時間が取れているか | 送る人の枠、絞り込みの条件。スカウト対象の絞り方 |
| 読んだのに送っていない(送らない判断が多い) | 絞り込みが広い | 条件を絞る |
| 送ったのに返信が来ない | 文面に相手の一文があるか、会社ページと募集記事が整っているか | スカウト文面の書き方、会社ページ、募集記事 |
| 返信は来るが面談に進まない | 返信への対応の速さ、日程調整の往復 | 返信が来たあとの進め方 |
| 面談はするが選考に進まない | 面談の設計、選考への移し方 | カジュアル面談の設計、面談から選考へ移す方法 |
| 選考に進むが決まらない | 選考の型、条件、面談との整合 | 選考の設計。スカウトの外 |
「細くなっている段の一つ前」を見るのが原則です。面談に進まないなら、面談ではなく返信対応を見ます。
返信率だけを追うと起きること
返信率を唯一のKPIにすると、次のことが起きます。
- 文面が煽りに寄る:「限定」「特別」で返信は増える
- 絞り込みが「返信しやすい人」に寄る:転職を強く考えている人だけに送り、募集に合う人が外れる
- 面談以降が見えなくなる:返信で満足し、面談で離れても気づかない
- 送る数が減る:返信率を下げないために、送らなくなる
返信率は、「文面と絞り込みが相手に届いているか」を見る一つの指標で、それ以上ではありません。
上司に報告する形
報告は、送った数と返信率ではなく、次の形にします。
- 段ごとの数(読んだ・送った・返信・面談・選考・決定):一行ずつ
- 先月からの変化:どの段が増え、どの段が減ったか
- その月に直した一か所:何を直したか
- 面談で聞いた言葉:数件でよい。「文面の〇〇に反応した」「記事の△△が分からなかった」
- 来月に直す一か所:どの段が細いので、どこを直すか
「返信率が低い」という報告より、「返信から面談への段が細く、返信対応が遅れていたので、来月は対応する人を決める」という報告のほうが、上司も判断できます。
KPIを直す頻度と、台帳との関係
- 段の構成は、変えない:読んだ→送った→返信→面談→選考→決定。この形は固定
- 毎月、数字を出す:台帳から数える。台帳の型はスカウト対象の絞り方と返信が来たあとの進め方で書いたものを合わせる
- 毎週、返信の段だけ軽く見る:毎週の見方はスカウトの返信率を毎週見直す方法
- 四半期に一度、段の細さの傾向を見る:毎月の一か所直しで、細い段が変わったか
- KPIの表そのものは、半年に一度見直す:段を足すか、数え方を変えるか
台帳が無ければ、KPIは出ません。KPIを設計する前に、台帳を付ける形を作ります。
社内の分担
| 作業 | 誰が |
|---|---|
| 段の構成を決める | 人事 |
| 台帳から毎月数える | 人事 |
| 面談で聞いた言葉を集める | 面談に出る人 |
| 細い段を見つけ、直す一か所を決める | 人事と責任者 |
| 上司に報告する | 人事 |
| 半年に一度、KPIの表を見直す | 人事 |
運用代行や代理店が支えられるのは、段の設計、台帳からKPIを出す形、報告の型、細い段の見つけ方、直す場所の案までで、数えること、面談で聞くこと、直すかどうかの判断は企業が行います。代理店の代行の範囲は代理店に運用まで頼めるかで書きました。
エージェントベストの見解
媒体を比べたり運用を見直したりするときに、Wantedlyのスカウトの成果を「返信率が他社と比べてどうか」で判断しようとする会社は多いのですが、他社の返信率は、相手も募集も文面も違う数字で、自社の判断には使えません。当社が3媒体の販売パートナーとして持っている他社の数字は、参考として話すことはあっても、自社の目標にはしないようお願いしています。自社の判断に使えるのは、自社の先月の数字と、面談で聞いた言葉だけです。当社がKPIの設計で最初にやるのは、段を並べた表を作り、台帳から数える形を作ることで、目標値を置くことではありません。表が三か月分溜まれば、その会社の基準が見えます。それが、その会社のKPIです。
まとめ
- KPIは達成するものではなく「どこで止まっているかを毎月見つける表」。送信数や返信率の目標値を先に置かない
- 段は、読んだ→送った→返信→面談→選考→決定。読んだ数から始める
- 目標値ではなく、先月からの変化と、面談で聞いた言葉で見る。月に一か所だけ直すと、変化の理由が分かる
- 細くなっている段の一つ前を見て、直す場所を決める。返信率だけを追うと、煽りと絞り込みの偏りと面談以降の見落としが起きる
- 報告は、段ごとの数・変化・直した一か所・面談の言葉・来月の一か所。台帳が無ければKPIは出ない
よくある質問
上司から「返信率の目標を出せ」と言われています
目標値ではなく、「段ごとの数と、先月からの変化と、直した一か所」の形で報告することを提案します。返信率の目標値を置くと、煽りの文面に寄り、面談で離れる人が増えて、結果として決定が減ることを伝えます。どうしても数字が要るなら、「先月より返信から面談への段を太くする」のように、変化で置きます。
台帳を付けていないので、数字が出せません
まず台帳を付け始めます。読んだ数、送った数、返信の有無、面談の有無、選考の有無を、一行ずつ。一か月分あれば、段の表が出ます。三か月分あれば、変化が見えます。KPIの設計は、台帳のあとです。
スカウト運用のKPI設計は、御社に相談できますか
できます。当社は、段の設計、台帳からKPIを出す形、報告の型、細い段の見つけ方、直す場所の案を支えられます。数えること、面談で聞くこと、直すかどうかの判断は、企業が行ってください。当社はOfferBox・Wantedly・ワンキャリアの販売パートナーとして、Wantedlyのスカウト運用を支えています。3媒体の全体像は3媒体の違いと選び方にまとめています。
本記事は 2026/9/11 時点の公開情報にもとづいて作成しています。
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