Wantedlyのストーリーで事業の裏側を書く方法|1つの案件を場面で書く
事業の裏側を書くストーリーは、候補者に「この会社の仕事は、実際にはどう進むのか」を見せる型です。ところが、書くと「成功事例の紹介」になりがちです。結論から言うと、事業の裏側とは、1つの案件やプロジェクトで「何が起きて、誰がどう動いて、何が残ったか」を書くもので、成功事例集ではありません。うまくいかなかった場面、判断に迷った場面が入って、初めて「裏側」になります。 顧客や取引先が特定されない書き方と、機密と数字を出さないことが前提です。この記事では、事業の裏側の役割、書く内容、聞く相手と質問、特定されない書き方、出さない情報、職種ごとの切り口、募集記事との対応、やりがちな失敗、分担を整理します。ストーリーの位置づけはストーリーの基本、テーマの決め方はストーリーのテーマの決め方で書きました。
この作業の目的|候補者に「仕事の実態」を見せる
募集記事の「どうやっているのか」と「こんなことやります」は、仕事の中身を数行で書いたものです。候補者は、それを読んで「実際にはどう進むのか」を知りたくなります。事業の裏側のストーリーは、その答えです。
会社ページや募集記事に書ける仕事の説明は、型としての説明です。事業の裏側は、型が実際の案件でどう動いたか、どこで崩れて、どう立て直したかを書きます。ここに、候補者が「自分がやる仕事」を想像する材料があります。
事業の裏側の目的は、候補者に仕事の実態を、1つの案件で見せることです。実績を見せることではありません。
手順1|書く内容|5つ
1つの案件について、次の5つを書きます。
| 順 | 書くこと | なぜ要るか |
|---|---|---|
| 1 | きっかけ | その案件がどう始まったか。誰から、何の依頼か、なぜ受けたか |
| 2 | 詰まった場面 | 途中で何が起きたか。想定と違ったこと、うまくいかなかったこと |
| 3 | 判断 | 詰まったとき、誰が何を判断したか。迷った選択肢 |
| 4 | 結果 | どうなったか。良い結果も、そうでない結果も |
| 5 | 残った課題 | 終わってから分かったこと、次にどうするか |
2と3が、「裏側」の中心です。きっかけと結果だけだと、成功事例です。詰まった場面と判断があって、候補者は「この会社の仕事は、こう進むのか」と分かります。
「残った課題」を書くのは、候補者に「自分の役割」を想像させるためです。全部うまくいった案件に、候補者の入る余地は見えません。「ここがまだできていない」に、候補者は自分を重ねます。
手順2|聞く相手と質問
事業の裏側は、案件の担当者と、その責任者の2人に聞くと、場面が立体的になります。
| 相手 | 聞くこと |
|---|---|
| 担当者 | 「この案件で、一番詰まったのはどこですか」「そのとき、何をしましたか」「誰に相談しましたか」「終わって、何が残りましたか」 |
| 責任者 | 「この案件を受けた理由は」「担当が詰まったとき、どう判断しましたか」「迷った選択肢は」「この案件で、チームに何が残りましたか」 |
聞き方は、社員インタビューと同じです。「うまくいった話」ではなく「詰まった場面」を聞きます。手順は社員インタビューを書く手順で書きました。
担当者と責任者で、同じ場面の見え方が違うことがあります。その違いも、記事に入れると裏側になります。「担当は〇〇と思ったが、責任者は△△を見ていた」のように。
エージェントベストの見解
相談で最も多い思い込みは、「事業の裏側の記事は、うまくいった案件を紹介する成功事例だ」というものです。実際には、成功事例は会社の実績の紹介で、候補者は「実績」ではなく「実態」を知りたがっています。当社は3媒体すべての販売パートナーとしてWantedlyの契約後の運用を見ていますが、候補者が「あの案件の記事を読んで来た」と言うストーリーは、例外なく「途中で詰まった」「一度やり直した」「想定と違った」が書かれています。うまくいった話だけの記事には、来ません。詰まった場面が書かれていると、候補者は「この会社は、詰まったときにこう動くのか」と分かり、それが「自分もここで働ける」につながります。事業の裏側は、実績を減らして、詰まりを足すもの。成功事例として書き始めていたら、「途中で何が起きたか」を担当者に聞き直すことを勧めます。
手順3|顧客や取引先が特定されない書き方と、同意
事業の裏側には、顧客や取引先が関わります。特定されない書き方が前提です。
- 顧客名を出すなら、先方の同意を取る:同意が無ければ出さない。同意があっても、書く内容を先方に見せる
- 同意が取れない場合は、特定されない形にする:「〇〇業界の△△規模の会社」「ある製造業の顧客」のように。業界と規模の組み合わせで特定される場合は、さらにぼかす
- 案件の内容も、特定につながる部分はぼかす:固有の製品名、場所、時期の組み合わせ
- 顧客の内部の事情は書かない:顧客の社内で何があったかは、顧客のもの。自社の動きだけを書く
- 迷ったら、出さない:特定されるかどうか迷う情報は、出さない側に倒す
- 社内の確認を通す:公開前に、その案件の責任者と、必要なら法務や管理部門に見せる
「自社がどう動いたか」は書けますが、「顧客がどうだったか」は顧客のものです。この線を守ると、特定の問題はほぼ避けられます。
手順4|出さない情報
事業の裏側で、出さない情報を先に決めます。
| 出さない情報 | 理由 |
|---|---|
| 数字(売上、金額、件数、率) | 機密であることが多く、候補者が知りたいのは数字ではなく動き方。この記事の方針としても数字は書かない |
| 顧客名(同意が無い場合) | 手順3のとおり |
| 機密に当たる技術や手法の詳細 | 競合に読まれる。「〇〇の方法を使った」程度に |
| 社内の個人への評価 | 「〇〇さんのミスで」は書かない。「想定と違うことが起きて」と事実で |
| 未発表の事業や案件 | 公開の時期を社内で確認する |
| 取引先との契約の内容 | 契約のもの |
「数字を出さない」は、機密の問題であると同時に、記事の質の問題でもあります。数字が入ると、候補者は数字を評価しようとし、動き方を読まなくなります。動き方だけを書くほうが、事業の裏側として読まれます。
手順5|職種ごとの切り口
同じ案件でも、募集している職種で切り口が変わります。
| 職種 | 切り口 |
|---|---|
| 営業 | 顧客に何を聞き、何を提案し、どこで断られ、どう変えたか |
| 開発・技術 | 何を作り、どこで詰まり、どう設計を変えたか。技術の詳細は機密の範囲で |
| 企画 | 何を調べ、何を決め、誰に説明し、何が通らなかったか |
| 管理・支援 | 案件を支える側で、何が起きて、どう調整したか |
| 総合職・新卒向け | 若手がこの案件のどこに関わり、何を任され、何に詰まったか |
募集している職種の切り口で書くと、募集記事の「どうやっているのか」の1日と、「こんなことやります」の最初の数ヶ月に対応します。募集記事から「この仕事の実際の案件はこちら」と誘導する形です。対応の考え方は「どうやっているのか」の書き方と「こんなことやります」の書き方で書きました。
手順6|書き方
聞いた内容を、記事にします。
- きっかけの場面から始める:「〇月、△△の依頼が来た」。会社の説明から始めない
- 時系列で、詰まった場面に最も分量を使う:きっかけと結果は短く、詰まりと判断は厚く
- 担当者と責任者の言葉を、それぞれ残す:2人の視点の違いが裏側になる
- うまくいかなかった部分を、削らない:「一度やり直した」「最初の提案は通らなかった」
- 残った課題で終える:「次はこうしたい」「ここはまだできていない」。成功で締めない
- 募集記事へ一言で誘導する:「この案件を担当した〇〇職の募集はこちら」
社内の確認は、担当者、責任者、そして特定と機密の観点で管理部門の3つを通します。確認が多い分、公開までの時間がかかるので、書き始める前に確認の流れを決めておきます。
やりがちな失敗
| 失敗 | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 成功事例として書く | 実績の紹介になり、候補者が来ない | 詰まった場面と判断を中心に |
| 顧客名を同意なく出す | 先方との問題 | 同意を取るか、特定されない形に |
| 数字を出す | 機密の問題と、動き方が読まれない | 出さない |
| 顧客の内部の事情を書く | 顧客のものを書いている | 自社の動きだけ |
| 担当者だけに聞く | 判断の場面が薄い | 責任者にも聞く |
| きっかけと結果だけ | 裏側が無い | 詰まりと判断に分量を |
| 個人のミスとして書く | 本人が傷つき、社内の空気が悪くなる | 事実として「想定と違うことが起きて」 |
| 確認の流れを決めずに書く | 公開までに何度も止まる | 担当者・責任者・管理部門の確認を先に決める |
| 成功で締める | 候補者の役割が見えない | 残った課題で終える |
最も多いのは、最初の「成功事例として書く」です。「事業の話を書く」と聞くと、実績を紹介したくなります。
社内の分担
| 作業 | 誰が |
|---|---|
| 書く案件を選ぶ | 人事と責任者(募集している職種に関わる案件で、詰まった場面があるもの) |
| 担当者と責任者に聞く | 人事 |
| 特定と機密の観点で出せる範囲を決める | 責任者と管理部門 |
| 顧客の同意を取る(名前を出す場合) | 責任者 |
| 書く | 人事 |
| 担当者と責任者が直す | 担当者と責任者 |
| 管理部門が確認する | 管理部門 |
| 募集記事へつなぐ | 人事 |
事業の裏側は、他の型より確認の工程が多い分、公開までに時間がかかります。その代わり、1本で募集記事の「どうやって」と「こんなこと」の両方を補えます。運用代行や代理店が支えられるのは、書く内容の型、聞く質問、書き起こしの整理、特定されない書き方の案までで、出せる範囲の判断と顧客の同意は企業が行います。代理店の代行の範囲は代理店に運用まで頼めるかで書きました。
エージェントベストの見解
自社で持つべきなのは、どこまでか。当社がWantedlyの事業の裏側の記事を支えるとき、5つの型、聞く質問、書き起こしの整理、特定されない書き方の案は当社が出せます。ただし、「この案件のどこまでを書いてよいか」と「顧客の同意」は、企業にしか判断できません。当社が案件の内容を見て「これは出せる」と判断することはできず、責任者と管理部門が決めます。当社の役割は、出せる範囲が決まったあとに、その範囲で「詰まった場面と判断」が伝わる記事に整えることです。出せる範囲を先に決めてから聞く。決めずに聞いて書くと、書いたあとに「ここは出せない」で大幅に削ることになり、裏側が消えます。範囲は企業が先に、記事は当社があとから。この順番で、事業の裏側は出せます。
まとめ
- 事業の裏側は、1つの案件で「何が起きて、誰がどう動いて、何が残ったか」を書くもの。成功事例集ではない
- 書くのは、きっかけ・詰まった場面・判断・結果・残った課題。詰まりと判断に分量を使い、残った課題で終える
- 担当者と責任者の2人に聞き、視点の違いも入れる
- 顧客や取引先は同意が無ければ特定されない形に。顧客の内部の事情は書かない。数字と機密は出さない
- 出せる範囲を責任者と管理部門が先に決め、確認の流れを決めてから書く。募集している職種の切り口で、募集記事へつなぐ
よくある質問
顧客名を出さないと、記事が具体的になりません
顧客名が無くても、「〇〇業界の顧客から△△の依頼があり、途中で□□が起きて、こう動いた」と書けば、具体的です。候補者が知りたいのは顧客が誰かではなく、自社がどう動いたかです。顧客名は、同意があれば出せますが、無くても裏側は書けます。
うまくいかなかった案件を書くと、会社の印象が悪くなりませんか
逆です。うまくいった話だけの記事は実績の紹介で、候補者は「実態が見えない」と読みます。詰まった場面と、そこでどう判断してどう動いたかが書かれていると、候補者は「この会社は詰まったときにこう動くのか」と分かり、自分がここで働く姿を想像できます。載せたくない失敗は載せなくて構いませんが、詰まりは載せるほうが届きます。
事業の裏側の作成は、御社に相談できますか
できます。当社は、5つの型、聞く質問、書き起こしの整理、特定されない書き方の案、募集記事へのつなぎ方を支えられます。出せる範囲の判断と、顧客の同意は、企業の責任者と管理部門にお願いしています。当社はOfferBox・Wantedly・ワンキャリアの販売パートナーとして、Wantedlyのストーリーの整備を支えています。3媒体の全体像は3媒体の違いと選び方にまとめています。
相談無料 / 求人広告代理店エージェントベスト
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